草野
枕元の時計の針が回る。
その音が、妙に大きく感じる。
佐藤が犯人じゃない?いや、そんな事より、なんだろうか。
椎名の反応はおかしい。佐藤さんって何なんだ。
田原の事を、どうでもよくなったというのか。
俺は自分の為に犯人を探していた。それは、浜崎さんに半ば暴かれる形で判明したことだ。椎名まで、自分の為にと言うのなら。じゃあ、誰が、田原の為に、行動するのだ。
混沌。
波が、波を生み、混乱が、混乱を加速させている。
この状況をどう収束すればいいのか。
針の音が、更に大きくなる。
田原の為に動く者がいなくなった?そんな事は無い。
俺は自分の為に動いている。
でも、まだ、それだけじゃないと浜崎さんは言った。
俺も、その通りだと、認識している。
では、一体。何の為に?
田原か?そうだ、俺は田原の為にも、行動しているつもりだ。
自分の為だけではない、田原の事だって考えている。それなら俺が行動を続ければいいじゃないか。
なのに、何故ここまで悩み、沈んでいるのか。
まだ、それだけじゃないのだ。