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   「あの世横丁ぎゃんぶる稀譚」   作者:顎男

   【作品内容】
 まず初めに謝辞を。
 怒濤の激務によって忙殺封殺された影響により大幅に更新が遅れました。さらに仕事の勢いは留まることを知らず、まだしばらく忙しくなりそうなのです。
 その上でこのリクエスト作品の文量は中々なキツさ。…うん、完全な言い訳ですな…。本当にすみません。
 というわけで今回、この作品におかれましては感想を二部構成という形で載せることをお許し頂きたいのです。これを前半とし、後半を次の感想回で更新する感じです。
 さて作品の内容、タイトル通りあの世でギャンブル三昧する博打狂いの学生のお話でございます。読めばわかりますけどひっどいこの男。
 前半ということで、ここでは第十五話までの内容を書きます。


   【人物】
 ちょっと普通とは呼び難い思考と境遇と観念を持っている高校生門倉いづるは、ある桜舞い散る日のこと、トラックに撥ねられて無残な死を遂げる。
 人は死後に魂となり、それはあの世へ連れられ七日間の猶予を与えられる。その間に魂を洗いあの世のお金となって本当の死を迎えるようです。
 その死人の小銭目当てで現れた妖怪の少女、飛縁魔。この子も中々の博打好き。というかあの世に住む妖怪は娯楽としてギャンブルを好んでいる者が多く、飛縁魔もその例に漏れなかったようです。
 次第にあの世の賭け事にも興味を寄せて行くいづるですが、コイツがまたあくどい。バレなきゃイカサマじゃないとはよく聞く話ですが、卑怯汚いは敗者の戯れ言とばかりに使える手は使っていくのはいっそ清々しさすら感じます。だからそれはいい。
 一番の問題はその精神性。ひねくれ過ぎています。これも過去の出来事から来ているものなのですが、それにしてもコイツ絶対友達出来ないだろうし友達になりたくもないというような感情を抱かせる男です。個人的にはあんまり好きじゃない…かなぁ。
 でも飛縁魔とはそこそこ仲良くやってる様子で、こっちもこっちで喧嘩っ早いし女の子なのに乱暴な口調ですが、普通に妖怪の方が人間味を感じてしまうレベルです。普通に可愛い。
 あの世には様々な外見の妖怪や死人がいますが、まぁ博打好きにロクなのはいないですね。類が友を読んでいるのか、赤ブレザー野郎なんてその筆頭。火澄ちゃんに近寄るな。
 妖怪ではどくろ亭のマスターやアリス、人間では光明や業斗、蟻塚辺りが好感あります。特にみっちゃんなんて競神の辺りで輝きましたね。最初は犬猿だったのに決闘のあとから普通に仲良くしてる蟻塚も面白い。
 やっぱり、わりとまともな思考してる人の方が親近感湧くのか好きになります。ギャンブル狂いはもう、よくわかりません。常人には理解し難い思考のせいか、理解できないものには共感できないし好感も持てない。どころか恐怖すら抱きかねませんね。ヤツら破滅を自ら招くスタイルだし。
 地下闘技場で明らかに不利であるいづるが、強敵業斗とどう相対するのか。このあとの展開がそこそこ気になりますがまだ読めてません(血涙)。


   【文章】
 顎男先生はわりと古参の方のようで、これの他にもいくつかの作品を投稿・完結させています。ってか本当に多い。どれだけ頑張っておられるのかこの人。
 流石に長年書き続けて来た実力の表れか、文章はこれまでの感想作品の中でもやはりトップクラスのもの。
 それぞれ作者ごとにわかりやすい特徴や書き方がありますが、この方もそんな感じでした。なんとなく、次に作者名を見ずに作品を読むことがあっても顎男先生だとわかるような気がします。
 賭け事の勝負にも事前にルールやポイントなどを細かく説明してくれるのもありがたい。ありがたいのですが、…正直読んでもルールわかりません!花札くらいならわかるんですけど、麻雀とか競馬とかはマジで難しい!手本引きとか全然わかりませんでした…。これ鹽竈の理解力不足のせいかもしれませんけど。
 でもわからなくてもわからないなりに、読み手に緊張感と圧迫を与えて来る文章が刺さって来ます。賭けてる者同士の思考の読み合い、次の手の考え、相手の読みを超えどう動くか。そういったものが如実に描かれていました。思わず読んでるだけなのに手に汗握るような空気を味わえるのはとても奥深いと感じましたねー。


   【ざっくり感想】
 いづるが事あるごとに拠点を変えて点々としているおかげで、ステージも毎回変わりキャラも移り変わる。そのたびにノリとテンポが変化していくのも見ていて面白いのですが、こうなるとキャラクターへの思い入れがしづらいかなと思う部分も多少なりあります。でもまだまだ出番ありそうなキャラばかりだし、残りは後半でかな?
 とりあえず一話ごとの詰め込みっぷりがヤバくて、初見さんにはちょっち厳しいものも無きにしもあらず。
 一話辺りの文量を小分けにして区切るだけでもいくらか読み易さは変わって来ると思いますけどここらは作者さんごとにまたこだわりとか色々あったりしそうなので強くは言えないですね。でも鹽竈的には引け腰になっちゃいました。
 続きは後半、というか全部読了し終えてから残り書こうと思います。本当なら最初っからそうしたかったんですけど…いやはや申し訳ないです。

       

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