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   「放課後のジョーカー・ゲーム」   作者:崩砂糖

   【作品内容】
 作者さんが作品内で描写している通り、どこかで見たことがあるようなわりとありきたり感の強いデスゲームもの。参加者は十三人、共通項は同じ高等学校の生徒ということ。
 しかし崩砂糖先生…の作品。…放課後のジョーカー……なんとか巫女人…ひかりがおか……トーナメント…うっ頭が…!
 ありきたりであるということは必ずしもマイナスに働く要素ではありません。むしろどうとでも展開を持っていきやすくあらゆる方向へ向かせやすいということです。結構複雑な役職とルールが絡み合って、読み応えのある作品であるのは間違いなさそうですね。

   【物語詳細】

   『第1話 ゲーム開始』

『 夏休みの登校日のことだった。当たり前に享受してきた平穏は唐突に終わりを告げ、星ヶ瀬光輝は見知らぬ古びた校舎、その教室の一つで目を覚ます。
 知った顔、知らぬ顔と、自らを含め合わせて十三の生徒が集められ、彼らの疑問と動揺と混乱に応じたのはスピーカーから放たれた無機質な合成音声。それが、悪夢の内容を淡々と語り始める。
 ひとしきりの説明を受け、彼らはマスターと名乗る悪質な狂人への怒りを露わにしたが、自分達の身の上を理解出来ずにいる十三人へマスターは一つ忠告としての映像を見せる。
 それはあまりにも現実離れした映像―――密室に閉じ込められた一人の少女、その身が爆散し絶命する悲惨な一部始終を目の当たりにし、十三人のプレイヤーは否応なくゲームへの参加を受け入れるしかなかった。』

 腕時計型の爆弾ってそんなに火薬詰め込めるんですかね?全身吹き飛ぶくらいの威力ってことはかなり必要そうですけども。
 主人公らしき光輝はかなり王道派主人公の模様。まぁここまでである程度デスゲームのテンプレって感じで進んでいます。多分この中に高校生離れした思考の持ち主が何人か潜んでいるんでしょう。馬鹿ばっかりじゃ展開上面白くないですし。
 見せしめで殺されたカヨコ(カヤコ?)ちゃん可哀想。補欠で一人確保しといたってことですけど、本当に一人だけなんですかね?TRPGみたいに死んだ分だけ予備人員投入したりしないですよね?うん、キリなくなるからまずないでしょう。
 この段階では登場人物もほとんどよくわからないままですけど、次である程度明らかになるんでしょうか。火渡君は劇場版ジャイアンみたいな良い不良だといいですね。


   『第2話 放たれた贄たち』

『 ゲームは開始された。
 深夜零時をもって、抽選で選ばれた者から順繰りに教室からの退室を許され、プレイヤーは三々五々に散らばっていく。
 困惑を抱えたまま恐る恐る外へ出る者、恐怖に震えながら逃避する者、揺るがぬ精神で冷静に出方を思案する者。十三通りの動き方が展開され、棄てられた学校を舞台に勝利条件を満たす血みどろの闘いが行われようとしていた。』

 涼君死にそうな予感がしまくっててヤバい。デスゲームでの親友ポジションは長生きできないって誰かが言ってた!
 ゲームが始まり、動き出すのはどうやら三話辺りからっぽいです。光輝の役職上、かなり長期戦になるのは確定的に明らか。このゲームに乗り気でない光輝にとっては望ましい役ですが、おそらく他のプレイヤーは嬉々として殺し合うんだろうなー…。
 ちょっと光輝の知り合いにフラグが立ち過ぎてる気がしてなんか…怖い。知り合い全員死んで闇堕ちする展開あるのでは?


   【人物】
 主役の光輝を初めとして、友人の涼、後輩の万理、血気盛んな火渡、リアリストな守。やっぱりというか、デスゲームものにおいて友人知人の類にはそれほどおかしなキャラは出ませんね。代わりとばかりにそれ以外がはしゃぎ始めるのも定番というかお決まりというか。
 全員の恐怖や困惑が充満している中で冷静に動けている人間が浮いて感じてしまうのは、やはり常人とは違った考え方をしているからでしょうか。
 文章が上手いからか、漫画でもないのにキャラクターの異質さや異端さといったものが漏れ出ている者が出始めています。未だプレイヤーの素性や性格も半分以上よくわかっていないままですが、現段階でも万理の胸中に秘めた恋慕や涼の友人想いな性分なども読者側からでも伝わるところは多く、心理描写は十二分に書かれていると感じました。


   【文章】
 前述の通り人物の心理描写は抜群でした。精神的に強い圧迫を受け続ける緊迫したデスゲームものではこういった部分をいかに細かく書けるかによって読み手の緊張感も違ってくると思います。そういう点でも、未だ心の未成熟な部分が多い高校生達の揺るぎ方に自分は読んでいて早くもハラハラし始めています。
 空けるべきところを空け、切るべきところできちんと切ってある文章構成にも高いレベルを感じ取りました。
 個人的に感じた部分としては、一つの文章における句読点というか単純に『、』が多いかなと。あまり必要の感じないところで句読点を挟むと読んでいく上で妙な引っ掛かりを覚えてしまいます。流れでするっと読ませてしまった方が頭に入りやすいと思った部分で多くこれが見られたので、繋げてしまった方が良いかもしれませんね。


   【ざっくり感想】
 全プレイヤーが勝つか負けるかまでやるとなるとかなり長いお話になりそうです。まだゲームも始まって間もなく、さほど大きなイベントも起きていない現状ではざっくり感想を書こうにもいかんともしがたいところですが、あまりハッピーなエンドにはなる気がしませんね。まあそれもデスゲームものの常といえばそこまでですが。
 本編とは別にルールの詳細やプレイヤーの名簿を用意してあるのがわかりやすくていいですね、人数も多いし、ちょっと役職の条件とかを思い出したい時に見れたりするのは助かります。ゲーム会場のマップまであるのは流石に驚きました、作り込んできている…!
 作者さんのコメントによれば次からゲームが本格的に動き出すらしいので、いよいよ期待の殺し合いが始まりますかね!…なんかこんな書き方してると自分サイコパスみたいだな。
 ともかく設定も文章も丁寧に作られているので、早いとこ続きお願いします!

       

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