Neetel Inside ベータマガジン
表紙

見開き   最大化      


   「欠けた天使の与能力(ゴッドブレス)」   作者:滝杉こげお

   【作品内容】
 タイトル通り、何かが欠けた天使のお話、らしい?こちらも完全初見で一話ごとにポツポツ感想書きながら進めている為、何もわからず。
 一話を読んだ段階では、主人公は神を目指す候補の一人。そして努力家であり自身の努力を虚無と捉える偏屈な天使。なんでそんな性格なのかは、まあ物語詳細で書きます。
 …考えてみたら全部完全初見なのに、作品内容なんて詳しく書けるわけがない。この項目もしかしていらなくない?


   【物語詳細】

   『第一話 欠けた天使は夢を見る』

『 天使とは神が神たらんとして捨て去った感情の一部を核として存在する者。そして核となった感情を、その天使は持たない。
 「達成感」を核として育った天使アーエルは、次代の神の座にもっとも近い少年だった。それだけの努力と成果を積み重ねてきたからだ。
 しかし彼はそれを善しとはしていなかった。どれだけ死にもの狂いで努力し続けても、どれだけの実績を上げてきても、「達成感」を持たない彼の心は動かない。
 そんな苦痛の日々も、ようやく終わりを迎える。
 次代の神を選定する、翌日の生誕祭。もっとも有力視されてきた彼が完全なる存在となるのだ。』

 達成感は感情に含まれるのか。まあ、感ずる情という意味ではそうなるんですね。
 基本負の感情を核とする天使の中では運が悪かったという他ないアーエル。でも怒りや悲しみの無い天使も、それはそれで不憫かな。
 神となる為の内申点を上げる為なのか外面を優等生で固めるアーエルは、自らの恵まれた環境も境遇も幸福には感じていない。達成感の欠陥をともかくとしても、裕福な生活送れてるんだから幸せくらい感じてもいいんじゃない?
 持つ者には持たざる者の気持ちは知れないってことですかね。自分も持つ者の気分なんて知りませんし。


   『第二話 何かの足音』

『 自らの本質を押し隠し、ただひたすらに神へ至る為の努力を押し通してきたアーエルは、生誕祭及び継承式のある当日の朝、弟オーエルから意味深な一言を送られる。オーエルの持つある能力のことから、アーエルはその言葉の真意を図りかねていた。
 神になるのは間違いなく自分だ。そう信じて疑わないアーエルの心の片隅には、ほんの僅かな不安があった。もし、もし万が一にでも神になれなかったとしたら、その時自分はどうしたらいいのか。欠陥品でしかないこの自分が何も手に出来なかったら。
 それを杞憂と笑い飛ばすこともできず、ついにアーエルを含む神候補三名は今代神の座す部屋へと足を踏み入れた。』

 天使にもサイズの大小があるんですね。皆人間サイズではないと。
 オーエルだけなんでそんな能力を有しているのか、アーエルやウーエルには本当に何の能力もないのか、気になるとこです。
 あとアーエルにはもう一人のボクとかいるの?もしかしてこっそり千年パズル完成させちゃった?
 これがただの妄想によるものなのか、果たして本当になんらかの人格が潜んでいるのか。わかりませんが大変だなお兄ちゃん。心労で胃に穴空きそう。
 存分にフラグを立てて、神様のところへ向かうまでで二話終了。


   『第三話 崩れた天使の向かう先』

『 神の間にて、ついに神自身の口から次の神が示される。しかも此度の神は二人。唯一絶対の存在である神が一度に二名選ばれることの異例さに戸惑いを見せるアーエルの前で、神はその者らの名を呼ぶ。
 それは、アーエルを絶望に底に叩きつけるに充分な宣告であった。』

 二名を選んだ意図はなんなのだろうか、未熟だから二人で一人前の神扱いとか?
 あまりのショックで壊れた様子のアーエルが今後何をするのか恐ろしい。神様と兄弟を殺しに行くのか…?
 天使は皆アーエルの言い分からすれば欠陥品になるんだけど、なんてアーエルだけこんな病的に追い詰められてるんでしょう。神の候補であるからか、それこそ達成感無きことが原因なのか。でもそれを言うとウ―エルとオーエルがあまりにも平然とし過ぎてる気も。
 ウシエル良い人すぎ。こういう有能執事的な人は大体いいとこ持ってきますよね。


   『第四話 最後の日常』

『 悲壮と怨嗟に固められた決意を胸にして、アーエルは普段通りの日常を送る。これが最後の
平穏だと噛み締めながら。
 つつがなく一日の授業を終えて、ついにその時はやってきた。
 アーエルは向かう。神の社へ、全てを終わらせる為に』

 サスペンスじみてきました。神様殺す気みたいだけど、ガタイの差がハンパないのでは?普通に殴り掛かっても返り討ちにされそうですけど…。
 自分が頑張って死にもの狂いで続けてきたことが水泡に帰すと、こんなことになるんですね。怖い。達成感無くても努力が無駄に終わったことには憤る辺り、充分人格的には完成できてるようにも思えますが、あくまでもアーエルの中で自分の存在は欠陥品のようです。


   『第五話 与能力(ゴッドブレス)』

『 自分を神に選ばなかった今代神へとアーエルは復讐へ向かう。その為に必要な神の能力を手にする為に、まずすべきは神との交渉。
 ところが一筋縄にはいかないと考えていた能力の譲渡はアーエルの巧みな話術によってなんと実現されてしまう。
 神の手によって直々に能力を与えられたアーエルはそのまま意識を深く沈み込んでいく。なんの言葉も残せぬまま、その身は下界へ落ちていった。』

 神様はアーエルの思惑を見抜いているのかどうか。全能の力でもその辺り完全にはわからないっぽいですけど、もし本当にわからなくて善意で能力あげたんだとしたらかなりのお人好しだと思います。ところで神様は感情を捨てて天使を作ったらしいけど、あの神様普通に感情出まくってますよね?捨てた感情も全能で取り戻したのかな。
 次から話は天界から下界へ?もう少し天界のこと描写したり掘り下げたりしてほしかった感もあるけど、まあ多分下界行ってからがメインなんだろうし仕方ないですか。


   『第六話 見えない真意と見えない未来』

『 能力を受け取り、受肉して下界へ降り立ったアーエルは、その力を持って神への復讐を再度誓う。しかしこの時、自身に宿ったはずの能力が使用できないことに気付いた。
 その頃天界では、アーエルへの能力譲渡に憤るウ―エルが神へ直談判していた。そんなウ―エルを宥め、神は自分の一部を分け与えた能天使と呼ばれる特殊な天使を呼び出す。その者は天界でアーエルの担任を受け持っていた教師カシエルだった。
 カシエルは神命を受け、下界のアーエルのもとへ向かう。』

 ちょっとこの段階で気になった点がいくつか。
 まずウ―エルのアーエルへの呼び方変わってません。兄ぃじゃなくて兄貴って呼んでなかったかお前。
 あとなんでオーエルは神になって『自負』を取り戻してるのにウ―エルはまだ『平穏』を失ったままなんだろう。同じ立場のはずなのにウ―エルは未だ闘争を求める平穏無き戦闘民族状態だ。
 そして能天使のカシエル。能天使は神から離れることが出来ないはずでは?でも普通に下界行けるっぽい。このあと明かされるのかな。
 やっぱり神は知ってたんですね、アーエルの本心。これから下界で心を洗ってきてもらおうって魂胆なのか、それともまた違う目的があったりするのか…。


   『第七話 模索』

『 下界に降りたアーエルを襲った最初の苦難は、空腹。
 強い飢餓感にアーエルはその行いが人間の世界でも罪にあたるとわかっていながらも八百屋の品物を無断で食べて捕まってしまう。
 散々絞られた後に解放されたアーエルは、ふとポケットの中に入っていた物に気付く。それは天界でのクラスメイト、ハミエルという女の子がくれたお手製クッキーだった。
 空腹に促されるままにそれを貪り喰らうアーエルは、その最中に溢れ出てきた涙の原因をわからずにいた。』

 いまいち天界と下界の感覚がわからないですね。天界にも道路があったようだけど、ということは自転車なり自動車なりあったのでは?と思ってしまった。アーエルの言い方からしてそれらは無かったっぽいけど。
 家の形とか生活基盤とかは一体どこの国のものなのか。スープだのを朝食にしているって辺りから日本とかではなさそう。西洋の圏内から天界は形作られているのかな?
 神様も着の身着のままで下界に放り込むなよ可哀想だろ…。


   『第八話 打算×純真』

『 極度の疲労と空腹によって気絶したアーエルは、知らない天井を見上げ意識を取り戻す。
 やたら厚遇されていた状況を作り出していたのは、倒れていたアーエルを家に連れ込み介抱をした人間、木野栄田。彼は純粋な善意からアーエルを助け、それどころかこの家に泊まって体を休めることを提案する。
 母親共々押しに押されてその提案を受けたアーエル。自身の正体を明かしていたその時、手の発光から能力の発現を確信する。
 神がアーエルへ譲渡した能力は他者へ能力を与える力、「与能力(ゴッドブレス)」。
 自分が能力を使えるわけではないことに落胆し、それでもこの能力で神への復讐を遂げようとするアーエルは当面の「与能力」の実験体として栄田を契約者に決めたのだった。』

 このご時世に疑いたくなるほどの善意の持ち主、木野栄田の登場。正直ここまで優しい人間はかえって怪しい。なんか思惑ありそう。
 第八話にてようやくタイトルの能力出現。能力を与える能力とはまたなんとも使いどころの難しい力。よっぽどの信頼関係が無いと与えた瞬間謀反を起こされそうですね。
 しかし天界とか神とか能力とか、なんとも植木の法則を思い出しますね。あれは面白かった。
 この作品は今後どう進んでいくのでしょう。バトル物になったりする?


   『第九話 付与能力』

『 契約を交わし、四つある内から栄田が選んだ能力は自身の身体能力を倍にする力。
 能力の詳しい部分を調べる為に公園へ来た二人は、そこでボールを木の枝に引っ掛けてしまい困っている子供達を見つける。根っからの善人である栄田はそれを見逃せず、能力を使って取ってあげた。
 子供達に憧憬の眼差しで見つめられ持て囃される栄田。能力の露見を恐れたアーエルはその場からの離脱を実行しようとするが、子供の何気ない一言に怒り露わに手を出し掛ける。それを、身体能力の上がった栄田が止めるのだった。』

 達成感無き天使の沸点低すぎて笑う。復讐に駆られて焦るのもわかるけど、もうちょい理性を働かせた方がいいと思います。仮にも天界ではうまくやれてたんだから。
 神はアーエルの更生を望んで下界追放と能力譲渡を行った模様。確かに下界で生き抜く為にも復讐を果たす為にも、与えた能力的にも誰かを頼らねばならないのは間違いない。その中で、嘘で塗り固めて来た自分を見つめ直せということでしょうか。
 とりあえず子供のあしらい方くらいは覚えましょうね。


   『第十話 怠慢無き天使』

『 子供から引き離されたあと、アーエルは自らの大人げない行動を反省する。それから、栄田の提案で能力を変更して別の力を試してみることを決める。
 しかしせっかくの能力も使うことなくただひたすらに人助けを続ける栄田に、アーエルは純粋な疑問をぶつけた。
 一方、天界ではある一人の天使が動き始めていた。自らの役割を一分一秒きっちり無駄なく果たす怠慢無き天使・カシエルである。
 カシエルの下界降下を影から見据えている者もまた一人。新たな神となったアーエルの弟であるオーエルが、得たばかりの力を振るって兄の為に何事かを起こす。』

 オーエルの兄への想いはちょっと度が過ぎてないですか?ちょっと病んでない?唯一兄弟でマトモな子だと思ってたのに違ったかな…。
 能力変更の際、時刻は正午を回っていると言っていたけど、その使い方について話し始めた時にはもう六時を回っているとなっていたのが気になります。まさか与能力が完了するまで数時間も掛かったわけではないでしょうし、描写がすっ飛んでいるような気がしました。
 カシエルは何しに来るんでしょうかね。天界からでもアーエルの様子くらいなら視れるだろうし、わざわざ干渉しに行くにしてもまだ早過ぎるような。アーエル下界に降りてからまだ一日二日そこらでしたよね?
 この英雄に憧れる少年のような純粋無垢な木野栄田の善行思想は一体どこから端を発するものなのか。次回でそれが明かされるようです。


   『第十一話 エイダの過去~底辺ヒーロー1~』

『 栄田の過去、それは学校でも孤独で他生徒との接点といえばパシリに走らされる程度の関係しかない、無味乾燥な生活。
 家に帰っても独り、何をするでもなくテレビを見て横になるだけのクリスマス・イヴ。連日世間を騒がせているものの、栄田にはさして興味も湧かない絞殺魔のニュースを聞き流しながら、陰鬱とした気分の中でつけたばかりのテレビの電源を切るのだった。』

 快活な少年が実は友達皆無の悲しい学校生活を送っていたという真実。おそらくここから何らかの転機を迎えて栄田は変わるのでしょう。
 この絞殺魔の存在が少し怖い。絶対今後関わってくるよコイツ、鹽竈のフラグセンサーがビンビン反応してるもん!
 十一話は少し短めで、次回更新は鈍意製作中というユニークな一文と共に未定。近い内に更新されるといいですが。


   【人物】
 今の段階では、大半の人物の腹の内がわからなくて若干落ち着かない。アーエルは流石に主人公なだけあって心情描写も多く大体の内面と考えはわかりましたが、神・オーエル・カシエル辺りはなんかまだ隠してる部分がありそうでなんとももどかしい。
 逆にウーエルとかは単純にエリートな兄貴に勝ちたいとか戦いたいとかいう戦闘民族思考でわかりやすい。こういうヤツの方が好きです自分は。
 ただ、物語詳細の中でも書いた通り、何故ウーエルは欠けていた『平穏』を取り戻していないのかが気になる。オーエルは『自負』を取り戻して自信に満ち溢れていたから、逆にウ―エルはもう少し落ち着いていてもおかしくないはずでは?と終始思っていました。
 ハミエルちゃんに出番もっとあげてぇ!この子一応ヒロインのポジションじゃないんですか!?今んとこクッキーでアーエルが命拾いしたくらいしか活躍無いよ!
 下界で出会った契約者は木野栄田。そしてその母親は人物紹介によると木野熱子らしいです。じゃあ亡くなったらしい父親の名前は木野発破(きのはっぱ)とかですかね!こんなこと考えててもおそらくお父さんの出番は無いでしょうが。


   【文章】
 情景や人物などの表現も最低限こなしてあって脳内でイメージしやすい文章でした。特に主人公アーエルのドロッとした心情などはこれでもかと詰め込んであったので、ああこんなに神になることに焦がれていたんだなと、だからこその復讐にも頷けました。
 ただ前の話や文章との食い違いや矛盾を見かける部分もあったので(正午だったはずなのに六時を回っていたり、いきなり場面が飛んだように感じたりした等)、その辺りは何かもう少し文章を足すなりして読者に補完させてくれると嬉しいです。


   【ざっくり感想】
 今後の展開がどう転んでいくのか読めません。王道で行けば栄田との生活の中で負の感情を洗い直して改心とかかな。逆に王道を外れるのならこのまま復讐で天界壊滅になりそうです。どんな展開になってもおかしくないのがワクワクしますよね。最近はバッドエンドなお話っていうのも珍しくありませんし。
 天界全てにおいて構成というか構造をもう少し詳しく知りたかったのはありますかね。下界の影響を強く受けているらしいけど、住んでいるのが羽で空を飛べる天使達である以上はぶっちゃけ道路とか必要ないわけですし。そういうのがどうしても気になっちゃうヤツなんです鹽竈っていう愚者は。
 下界の友人や神や兄弟や教師、アーエルを中心にそれらの関係がこれからどう動き変化していくのかが見物ですね。復讐を誓う堕ちた天使の顛末や如何に。

       

表紙
Tweet

Neetsha