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   「学校を壊そう!!」   作者:make

   【作品内容】
 初めての感想になりますmake殿、本スレにて手心の心配をされていたようですがご安心を!どこでどんなものを見ようが鹽竈の感想にブレが生じることはありません。たぶん!
 全て一括して物語を纏められている点、単純に文章量が多い点などでわりと時間を食ってしまいましたがようやく読了致しました。
 この作品に関しましても言いたいことは多々あります。先に言っておきますと、これ一つ前の感想で書いた『魔法少女アリヤ』で挙げた指摘とよく似た部分が多く見られました。ということでそこを重点的に触れていきたいと思いまする。


   【人物】
 主人公は精神的には実年齢よりもかなり達観した少年二階堂。中々小難しいことを考えている上、過去に何か壮絶な経験なり体験なりをした模様。その辺は後の項目にて。
 二階堂はまだいいんです、主人公だからそれなりにキャラが立ってて。問題はその取り巻き、敵役である教師(宣教師)達、その他モブ等ですね。
 美濃、大澤、田中辺りは二階堂の側近としてそれなりに初期段階から活動していたようですが、それぞれに特徴らしき特徴がほとんど無いせいで台詞の区別がつかなかったです。これは文章構成上での問題もあると踏んでいるのですが、それもまた別項目で掘り下げます。
 単刀直入に言わせてもらえばキャラが薄い。特徴が無い。そりゃおかしな語尾にするとか変な喋り方にするとかは安易過ぎるしあまり良い方法ではないと思いますが、良くも悪くも敵味方込みで口調や内容が平凡過ぎるのです。本当に実生活での学生間の会話のような、とりとめもない話をしてしまうと、特徴の無い彼らの誰が喋っているのかさっぱりわからなくなる時があります。
 柚子葉が今回のヒロイン枠のようでしたが、二階堂と恋仲になる要素がほとんど無かったように思えます。お前は奴のどこに惚れたんだ。
 このタイトルでもある学校を壊すまでの二、三ヵ月の間で起きたイベントを端折っているのかそもそもイベント自体が存在しないのか、どちらにしてもまず情報量が圧倒的に足りない。文章量はそこそこなのにそれに情報が追い付いていない感じでしょうか。レジスタンスの数が増えて行く過程もほとんど飛ばされていて、仲間の名前などはいきなり出されても誰お前?となるばかりです。
 もう少し、キャラクターに愛を注いであげた方がいいかもしれませんね。もちろん物語というものは、その内容と展開に重きを置かれるべきですが、その世界を渡り歩き冒険するキャラクターという存在も大いに重要なのですね。これは絶対に蔑ろにされるべきものではありません。


   【文章】
 まず同一人物の台詞を別々にして立て続けに並べるのはやめましょう。わざわざ「」を分断して同じ人間の放った言葉を分けると混乱します。一つの「」の中で収めるか、それが無理なら一度区切って地の文を挟むなどしてから再度喋らせた方がいいかと。
 人物達の会話が噛み合っていないと感じる場面がいくつか。一つ挙げますと、

 彼の内心は昂っていた。これまで欲しくて欲しくてたまらない協力者が現れたかもしれない。
「頭がおかしくなりそうなんだよ。」
「全部ぶち壊したい。おかしいことだらけだ。教師たちもここのシステムも矛盾だらけの教義も。どいつもこいつもまともじゃない。だが圧倒的な力の差がある。その差だけさ、問題なのは。」
「俺は美濃だ。」

 誰もお前の名前なぞ訊いていないわ(激怒)。
 もしかしたらこれって最初の台詞が美濃、次が二階堂が喋っている台詞なのでしょうかね?だとしてもいきなりの自己紹介は意味がわかりませんが…。
 同じ人間が台詞を区切った上で立て続けに喋る文章を綴るとこういう場面でも書き手と読者で認識の不一致が発生します。事実鹽竈はよくわかってません。口調も喋り方も同じだからなおさらわかりづらいというのも混乱に拍車を掛けていますね。
 あとたまに美濃が三野になってることもあります、最初別人物かと思ってたのでさらに混乱状態が悪化しました。これに付随して誤字が多い、中でも接続詞の間違いが酷く、解読するのも一苦労です。
 またしても一つ前の感想『アリヤ』との類似点となりますが、小説を書く人間は最大限注意しなくてはならないことがあります。それは読者の側に脳内補正や加筆修正などの手間を掛けさせないことです。
 文章間違いを侵すと、読み手はそれをどうにか理解可能なレベルまで脳内で修正しつつ読み進めることになります。『今日を空で青かった』などという意味不明な一文を、読者は『ああ、これはきっと「今日も空が青かった」と書きたかったのだろうな』と解釈し、理解しようとします。
 極稀にするミスであれば良いとしても、この作品はそういったものがあまりに多く、スムーズに読み進めようとしても誤字脱字、文章自体の構成ミス、加えてキャラ分別の困難さなどが相まって遅々として話が頭に入って来ません。
 他にも三点リーダーが気分で変動したり台詞には謎の倒置法が多かったり、自己紹介も交わしていないのに初対面で女の子を名前で呼び捨てにしたり話の脈絡が無かったり唐突に場面が飛んだりともうなんか色々とごちゃっとしていて読み辛いです!!それからアルフって組織名を明かす前からその組織が纏めた情報をアルフレポートとかいう名称で当たり前のように出してくるのやめてぇ!初め本当に自分の知識不足かと思ってグーグルで調べたんだからぁ!!
 あとせめて物語が誰視点なのかだけでも固定させてほしいです、その時々によって二階堂の一人称であったり三人称視点であったり、主観であったり客観であったりというバラバラの表現は非常に読書ペースを削がれる要因になります。


   【ざっくり感想】
 正直、読了直後の今でもあまり頭に残っていませぬ。そもそも印象に残りにくいというか、気に掛かる部分ばかりが引っ掛かって中々ストーリーがストンと落ちてこなかったです。起承転結も曖昧だったというか、何か色々と足りなかったような気がしてならない作品だったように思えます。
 とりあえず、人物の描写や性格をしっかり書き分けて特徴や個性を与えてあげることが大事でしょうか。それから設定ですね、これもちゃんと練り上げて固定させないといけません。二階堂とか冒頭の説明で十六年間生きているような感じのことを書いてあったのに後半では十四歳とか書いてあったような気がしますよ?
 世界観諸々も設定が甘かったような感じですね、結局あそこは一体どこで、どういったものだったのか。そこに集った生徒達は何を基準に集められたのか、宣教師達の根本的な目的とか。
 いくつかは多分理由とかは無くて、いくつかは鹽竈の読み間違いや勘違いで誤解をしている部分もあったりするのでしょう。しかしそれでも、不明な点や釈然としない点が多過ぎるのです。張るだけ張った伏線もろとも全てぶん投げてしまったような印象が強く残ります。事実がどうであれ、鹽竈という一読者はそういう感想を抱くに至ってしまいました。
 次の感想も同作者の作品ということで、この『学校を壊そう!!』に関してはこの辺りにしておきたいと思います。おそらく、次の感想もこれを基準にして書くことになるかと思います。makeさんにはその辺りをご容赦頂きたい!

       

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