Neetel Inside ベータマガジン
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   「奇跡のアイランド」   作者:make

   【作品内容】
 引き続きmake先生の作品になります。めっちゃ文量多くて苦労した…。
 先に言ってしまうと、感想自体はほとんど文章へのあれこれに傾きますね。同作者の作品ということで類似する指摘点も多く、その辺りは端折りながらやっていきたいと思います。


   【人物】
 渉がもうなんか凄い主人公やってる。主にはハーレム系ラノベ主人公のような振る舞いと態度と状況。しかもこの昨今では既に見飽きた感すらあるやれやれ系。なんだこれは…。
 物語冒頭から既に美少女三人を侍らせていいご身分の渉。お前どう考えてもそれはロリコンと受け取られてもおかしくないぞ。
 違和感を覚えるほどに好意を寄せて来る美少女達とは別に、頼れる大人や親友達もやたら渉を持ち上げて来る。正直意味がわからなかったです、だって渉少なくとも作品での描写中では全然たいしたことしていないんですもの。どこに高評価を得るイベントがあったの?
 家族、という枠組みで括られている登場人物達の関係性がほとんど伝わらなかったのが痛かったですね。突発的にひょっこり新しい人物が出て来たかと思えばなんの疑問も無く親し気に話し始めたりするし、その人物自体の説明も関係性もロクに明かしてもらえないので読んでいる側はひたすらに困惑です。『え、いきなり出て来たコイツ誰?なんで誰も疑問を覚えないの?どこに隠れてたんだコイツ、ええ?』ってのがキャラ出て来る度に感じました。この辺は登場する描写を省いてしまった文章に問題ありですかね。
 キャラクターをキャラクターたらしめているのが、漫画やラノベに出て来るような特徴を持ったある種の『属性持ち』という部分でしかないのが不気味ですらありました。『騎士然とした少年』、『白衣の天才科学者』、『猫目ツインテールの女の子』……そういった一目でわかる、あるいは描写で理解できるシンボルを有した『だけ』のキャラクター。それ以外に中身が伴っていないかのようなハリボテの如き空虚感、とても言いましょうか。人数が多いのにスポットをまともに浴びていないせいで、いまいち登場人物に理解を示すことが困難極まりました。


   【文章】
 視点を確立させてください、これはマジで。
 一人称から二人称で三人称、あらゆる視点を織り交ぜながらのフルコンボシャッフル視点が酷過ぎて誰がどこを見て何を言ったのかみたいなのが大混乱です。
 ついさっきまで渉視点で話を展開していたはずなのに、いつの間にか神視点で客観的俯瞰的に渉の心情を表現していたりするし、逆に三人称で他者の内心を描写していた時に渉のツッコミとか独白みたいなのが地の文で差し挟まれたりします。なんだこれは……。
 それから前の項目でも書いた通り人物の登場が唐突過ぎます。いきなり瞬間移動で出現したわけでもあるまいし、きちんと通路の奥から歩み寄ってきたとか、玄関を開け放って飛び込んできたとか、主人公が登場を認識するまでのくだりもしっかり書いてほしいです。じゃないと今その場に誰がいるのかさっぱりわかりません。主人公と女の子の二人っきりで雰囲気作ってるのかと思いきや、当たり前のように二人三人と家族が紛れ込んでたりして『!?』ってなりましたホントに。この人達精霊術師じゃなくてもはや忍者かなんかだろ。
 なんだかツッコミどころは満載でした。まず当たり前のように話題に出る精霊って何、精霊術極めんの早過ぎない?自然界の精霊の力を借りてるのに時空にまで作用出来る原理は?アリーシャは精霊王なのに上妻家の家族なのはなんで?四大精霊の主ならマクスウェルじゃないの?(テイルズ脳)
 あとは前述の通りの家族全員が渉に向ける異常なまでのマックス好感度。まあこれらの大半は物語終盤?における真相でおおよその理解には及びましたが。ようは渉に都合のいい世界やキャラクターが登場しているってことですね。だから皆絶対に敵にならないし無上の愛を注ぎ寄り添ってくれている、と。
 でもやっぱり全体的に話が端折り過ぎというか展開早過ぎるというか、一から見たわけでもないのにいきなり総集編を見せられた気分でした!
 あと咲夜・シュラのキャラと関係が完璧に脳内でエリーゼとティポで変換されました!!これだから厨二全開の鹽竈には困ったもんですよ!


   【ざっくり感想】
 まだ完結ではなさそうですが、既に佳境には入っていそうですね。あとは黒霧殲滅しておしまいって感じかな?なんにしても文量の多さと内容のツッコミどころ満載っぷりに、make先生には申し訳ないのですが非常に疲れてしまいました……。これ仕事上がりに一気に読んだのは失策だったかな…。
 小説を成す上で根本的に文章がきちんと成り立たないというのは大問題です。通常の小説の二倍も三倍も労力を必要とする小説というのもやはり問題なのです。作者さんごとの作風やクセによって合う合わないの相性差はあるにせよ、make先生の文章はそういった方向性とは違う意味で改善を要しなければならない部分が少なからずあるように思いました。
 執筆することで向上していくものもありましょうが、それと同時に小説を買って読んでいくことも大事ではないかと。自分の好きなジャンルや作者のものだけを選りすぐっても構わないので、まずはより多く文章に触れていくことが執筆の上でも良い経験値となるはずです。
 そうした上で自らの執筆した作品を一から読み返したりしてみればその差異に気付くことも、また現時点で必要な要素などもはっきりしてきます。鹽竈的にはそんな感じで自らの文章を見直して書き直したりしています。
 あとちょっとで完結しそうなので、最後どうなるのかまでしっかり見届けたいと思います。これハッピーエンドになるのか不安になってきた…。そもそも渉としてのハッピーエンドも全体的にどうなるのかよくわかりませんし、二つの世界間の設定とかも曖昧でいまいちよくわかっていないのでなんとも言えないのですが…。

       

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