Neetel Inside ベータマガジン
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   「約束の地へ」   作者:藤沢

   【作品内容】
 ニノべ…いや全体的に見ても珍しい競馬のお話。作者さんも感想自体は初めてですが、これまでもいくつか投稿されているお方のようで。だいぶ昔からいらっしゃる古参さんみたいですね。
 あと先に言っておきますとこの鹽竈、生まれてこのかたパチンコスロット競馬諸々ギャンブル的なものを嗜んだことがございません。やってみたいんですけどね!どうしても一人じゃ気遅れしちゃいまして。


   【人物】
 主人公は競馬界におけるトラックマンと呼ばれる、馬や騎手の情報や状態を把握しつつそれらを有益なものとするべく公開したり記事にしたりする人?なのですかな。とても大変そう。
 この朝川という主人公をメインに、その周囲…同じトラックマンの先輩後輩や、情報の仕入先である調教師、あるいは馬を従える騎手などの人間関係や勝負の行く末を計っていくのが主な物語の内容でしょうか。
 競馬においてもコネやツテというのは存在するんですね。鹽竈の頭の中ではとりあえず馬券と新聞片手に大衆が馬を大歓声で応援しているイメージしか湧かないのですが、その裏ではこういった苦労や苦心があるのですね。
 ただ馬とそれに乗る人間がレースを競うだけのものではない。そう思わせるほどにレース以外の部分でも勝敗を分ける要因があって、朝川はそれを目聡く見抜いて探っていくのが面白い。経験によって養われた観察眼なのでしょうか。
 人柄の良さもあって周囲と繋がっている朝川の対人関係は見ていて楽しいものがあります。こういう、何かの職を突き詰めた先にある専門達の『分かっている会話』みたいなのって格好いい。


   【文章】
 行頭以外は特に言うことなんもないです。レース内容自体は短い文章に纏めつつ、それに至るまでのドラマや勝敗を見分ける情報の入り乱れなどがむしろメインなのではと感じました。でも実際そういうことなのでしょうかね、レースが始まるより前に大半の勝敗結果は決している!みたいな。事前情報の有無や質がものを言うのは競馬に限った話ではありませんし。
 ああ、でもあれですね。競馬ノー知識ノー経験の鹽竈的に思ったこととしては、競馬関連の用語が時折わからないのが難点ですね。一応説明はしてくれているのですが、流れるように会話の中で用いられると、『あれ、これどういう意味だっけ?』ってなっちゃいます。他の用語とかと兼ね合わせてこられたりすると尚更に。用語集みたいなのを本編とは別個に作ってくれたりすると、鹽竈のような知識ゼロの人間でも読みやすくなるかもです。


   【ざっくり感想】
 鹽竈的には好きな話です。競馬云々とかではなく、経験と遍歴を重ねたプロの人達が織り成す物語ってのが個人的にゾクゾクします。
 見せ方も上手いです、作者さんが競馬好きなのがよくわかります。こういう、読ませる文章というのは好きなものでなければ成すのが難しいですよね。とても興味があり好いている事だからこそ、相手にも伝わり同様に興味を誘う小説を書けるのだと思います。素晴らしいことです。
 ちょっと読んでいて競馬好きな友達に付いていきたくなりました。まだこの先どうなっていくのか(柿田と紺田の確執とか)わかりませんが、競馬以外の要素でもとても先が楽しみな作品でした!ですので是非ともリレー小説にご参加くださいませ!お待ちしております!!

       

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