Neetel Inside ベータマガジン
表紙

見開き   最大化      


   「約束の地へ」   作者:藤沢

   【作品内容】
 前回から続けての感想日更新あざっす!中々興味深い作品ですね、個人的には。まったく未知の領域であるからか、妙に惹かれてしまうものがあります。
 三話ほど更新されていましたので、その感想を綴りますよー。


   【人物】
 主人公の朝川の元に、新人後輩の伊藤有栖がやってきます。新キャラですね。作者曰く、用語集に代わる競馬解説の役割を担わせたキャラクターだそうで。確かにこれなら本編とは別枠で用語集を作ることも読者が見ることもせず、あくまで本編中で自然に知識の無い読者などが競馬のイロハを知ることが出来ます。
 かと言って無理矢理に登場させたキャラではなく、ここも自然に新入社員という形で、なおかつ競馬界の大御所の姪っ子という立ち位置で登場させたのは上手いなーと思いました。いずれはその大物人物たる伊藤敏幸という方の出番もあるのでしょうか。
 ってかアリスが普通に可愛い。どこぞの魔法少女も病み壊れてて可愛かったけど、これは違うベクトルで普通に可愛い。娘にしたい。
 主人公が妻子持ちであるという点からしても、充分に師弟関係でヒロイン枠これ来ましたよ。まさか競馬小説でヒロイン枠なるものが存在するとは考えていませんでしたが(笑)。
 さらにアリスに加え竹淵厩舎という関東トップクラスのボス的存在に所属する調教助手の古城や安斎という名も登場し、ますます競馬世界の荒波が垣間見えて来ました。次なるスポットは竹淵厩舎ザラストホースか!?


   【文章】
 前述の通り新人のキャラクターを登場させることで、十二分に保有されている競馬知識からさらに競馬未経験の人間にも優しい解説付きのワールド展開が成され始めました。読んでいるだけで競馬のなんたるかを理解できていきそうな気がします。
 説明自体も極めて丁寧でいてわかりやすく、鹽竈自身『どういう意味だこれ?』と感じていたものをしっかりアリスが代弁してくれていました。ハロンの話とかですね。
 文章の内容には問題一切ありません。ですが哀しいかな、解説の為に長文を強いられるが故の文量ブロック化。ソルト名義を明かした今だから言えますが自分も嫌というほど経験しています。
 ようするに、改行するポイントを見つけられず、長々とした文章が一つの塊のようになって何行も続いてしまう現象のことですね。
 未経験者の為に競馬用語解説などを交えた話を設けてくれているのは非常に助かるのですが、それによって上記の現象が起き気味になっているかな、と。行頭も空いていないので、文章の起点がどこなのかわからなくなってしまうのも読む上で難点となってしまっているかもです。
 玄人朝川と新人アリスとの会話のように、台詞として交互に競馬の専門知識を紐解いていく方が読む側としては分かり易いかもしれないと思う反面、台詞重視によって地の文が疎かになってしまうのも本末転倒だと思うのでとても難しいところですね…。
 鹽竈的にはあまり個人の作風に深入りした物言いを控えたいところなので、この辺り藤沢先生がどう捉えるかによるとしか言えません。別にこのままの文でもさしたる大きな問題は無いので、そこまで重大な関心事でも無いとは思います!はい!


   【ざっくり感想】
 ファンタジーだのバトルだのが大好物な鹽竈がここまで競馬の話を楽しんで読むことになるとは自分自身で思ってもみませんでした。非常に読みやすく、内容も競馬一辺倒のギャンブル話だけではないのが大きいと思います。
 賭け事に興味無い、という方も読んでみることをお勧めしたいですね。競馬は深く浅くとのめり込んでいる深度の違いはあるでしょうが、嗜んでいる人自体は非常に多いと思いますし、話題のタネを一つこの作品で学んでみるというのもまた一興かと。
 競馬やってみたいけど知識ないし…そんな方などにはそれこそ勧めるべき一作。これを読んであなたもたちまちの内に競馬マスター。仕事?貯金?うるせえまずは馬券を買え!!
 …いや流石にそこまでは言いませんが、良いですよ普通に。ほんとにその内、友達に頼んで競馬場まで行ってみたいと思いました。藤沢先生調子良い馬教えてっ!

       

表紙
Tweet

Neetsha