Neetel Inside ベータマガジン
表紙

見開き   最大化      


   「かわりもの」   作者:若樹ひろし

   【作品内容】
 初めて感想を書く方ですね、ありがとうございます。なにやらTwitter辺りでこの感想のことを知って頂けたようで、嬉しい限りでございます!
 まあたいしたことは書けませんが、拙いながらに何か為になることの一つでも捻り出せれば幸いです。
 さて物語は『かわりもの』たるタイトル通り、愛着のある服を纏うことでその人物に変身することが出来るという少女を起点に始まります。なんだか世にも奇妙な物語みたいで興味をそそられる内容でございました。
 

   【人物】
 名も無き主人公とヒロイン(?)と今時の少年少女。登場人物は少なめですね。まだ物語が序盤も序盤なので仕方のないことですが。
 主人公の影が薄そう、今一つこれといった特徴のない普通の社会人だからでしょうか。逆に言えば、ラノベのキャラクターのようにこれみよがしな口調や姿をしていないのがリアルな現代社会の人物像として描写されているとも取れますね。
 少女はわりとクール、寡黙?記憶がない故の慎ましやかさなのかもしれませんが、持ってる能力の特異さが際立って一番キャラも立ってます。学園モノでない以上、学生服を着ている希少性自体もキャラとしてのシンボル足り得ているのも大きいですね。
 あとは何故か主人公とヒロインを差し置いて名前を獲得している今時少年少女三人。こっちはよくわからないですね、何やら篤い絆で結ばれているようですけど、まだ現段階ではどういった関係なのかが不明なので…。


   【文章】
 これといっておかしな点は見受けられませんね。台詞と地の文のバランスもちょうどいいですし、文章を書く上でのポイントはあらかた押さえてあると思います。
 ただ、これは文章の問題ではないのですが登場人物の特徴が薄いというか弱いというか。今はまだ五人程度しか出ていないのでいいのですが、脳内で描くキャラクターのイメージが今一つモブのそれに近い感覚があります。
 全体的に淡々と喋る会話が多く、誰が話しているかの補足が入らないと本当に誰の台詞なのかが不鮮明になってしまう部分が散見されます。唯一台詞だけではっきり誰と判別できるのは、チャラい今風な女言葉で話す山ガールくらいでしょうか。ちゃんと台詞の前後で逐一誰が口を開いているのかを明示しているので分かるのですが、これが複数人で一斉に話し出されたりするとやや混乱してしまいますね。
 無理して特徴的な口調にする必要は無いのですが、たとえば主人公であれば疲れ果てているので終始どうでもよさような様子で三点リーダーを交えた怠そうな話し方とか、ケンイチは強気な言葉遣いであるとか、そういうのがあるとキャラとしても読者は認識し易くなるかもです!
 

   【ざっくり感想】
 これ長編か短編かわからないのですが、話の展開が少し駆け足気味のように思えました。
 主人公と少女が突然の出会いを果たしてから今時少年少女の押し掛けが来るまでも早いし、その退散までも手早く片づけてしまったので、なんとなく少女の能力をチュートリアルで展開したようにも見えます。今時少年らもその為のぽっと出モブとして扱われたかのような感じがありますね。実際そうなのかもしれませんが。
 山ガールがほとんど初対面の大人に少年らとの関係や家族の内情などを吐露するのもちょいと違和感が残ります。いきなり生死不明の兄に似てるとか言われても、主人公だって困りますよね、突拍子無いし。そういうところも疑問やら覚えてしまいます。
 だからまあ、総合するとやっぱり展開が早いの一言に尽きると思います。自分の事情を語るにしてもある程度の関わり合いが無いといきなり話し出すのはおかしいと感じてしまうのは無理ないことなんじゃないかなぁ、と。
 まだ作品としても始まったばかりのお話ですので、現状書けるのはこのくらいでしょうか。少女の能力を見るにジャンルはちょいファンタジー?SF?その辺りになるんですかね。彼女が何者なのかで今後の展開も分かれてくると思いますし、まずはそれ待ちになりますね!案外宇宙人だったりして…。

       

表紙
Tweet

Neetsha