「家路のクオリア」 作者:宮城毒素
【作品内容】
リレー小説の同志、宮城先生!前回に引き続き今回も『家路のクオリア』の感想ということでよろしくお願いします!ってかそういえば宮城先生も絵がとてもお上手じゃないですか挿絵描いていただけませんかー!?
【人物】
新規の登場人物は母親くらいですかね。滅多に家におらず、いたとしてもさして家族としての会話は行われない淡白な家庭。仕事熱心というか、それにのみ情熱を傾けた人ってことかな。これで家族の形が最低限でも保っていられるのが不思議。
なんというか、宮城毒素先生の作品全般で感じることなのですが、登場人物が大体なんか冷静というか冷血というか、あまり感情を表に出すキャラが少ないですね。主人公も色々と感じ考えているはずなのに、それを声高に表したりはしませんし。
どう言えばいいのか。内面は非常に人間らしいのに、それを外面で分かる形として出力されることがあまり無いというか。結果的になんだか無感情な人間だなぁと感じてしまうことが多いような気がします。単純に毒素先生の展開する世界に病みっ子が多いのもあるのでしょうが!
そういえば今回はわりとまともな人ばっかりだな…いないといないで病んでる娘が恋しくなってきてしまう…。
【文章】
鹽竈はですね、皆勤賞の毒素先生の感想をもう七回もこなしてきているのです。そんな自分に、これ以上何を書けというのでしょうか。というか四回も五回も感想を書いている辺りの作者さん方の【文章】項目は毎度どうしたものかと頭を悩ませたりします…。
でも、そうですね。文章の合間に差し挟まれる補足というか追加の表現が少しばかりくどいかなと思う部分が今作にはありました。いくつか挙げますね。
『 僕は今でも信じられないでいる。あの父と、あの母が、恋愛―――或いはお見合い、その他―――をして結婚して、僕と兄を産んだことが。』
『 料理も洗濯も掃除も、すべて家族で分担しているし、その上で必然的に伴うコミュニケーションは―――いくらか淡白ではあるが―――淀みひとつなく図られている。』
『 母を好ましく思わないのと同時に、僕の中にはそうした一定の理解―――或いは納得―――も存在していた。』
『 僕は―――空腹ではなかったけれど、習慣として―――賞味期限が近づいてきた食パンを袋から取り出してトースターに入れる。』
こういう感じのが他にもいくつか見られます。悪いというわけではないのですが、あまり多用するのはどうなのかなと鹽竈的には。仮にこれを()に収めて処理したとしても読む上で少し面倒臭さを覚えるかと思いました。
これまで見てきた五つの作品の中では見られない書き方だったのでもしかしたら試験的に運用しているだけなのかもしれませんが。鹽竈的にはこれまでの毒素先生の書く文章の方が好みだったですね。
個人的主観を抜きにしても、現段階を読了した一読者としても上記の方法は使うにしても頻度はやや抑えめにした方がいいかもしれませんと思ったりなんだりしたりしました。
【ざっくり感想】
序盤と終盤が入り乱れる特殊な展開の仕方をしております今作、これ主人公の死が確定してますよね…。結局クロユリは一体なんなんだろうか?
最新話にて家族の崩壊が示唆される内容がぽろっと出ていましたが。どうも最終的にはハッピーエンドとはいかなさそうです。嫌な予感しかしなーい。
おそらく今年はもう更新ないのかな?続きは来年に期待するとして、今回はここまでということにします!