「約束の地へ」 作者:藤沢
【作品内容】
中二脳メルヘンファンタジー野郎の鹽竈が何故か今一番ニノべで楽しみにしている作品。毎度言ってますけどもこれはマジで必見でございまし。
前回の続きからということで、十八話から最新話までの感想です。競馬物は作品内での時の流れが速いですなぁ。
【人物】
だいぶ初期の頃より話に出ていた主人公の過去話、朝川征士というトラックマンの起源に触れる人物の登場がありました(故人ですが)。
やっぱり朝川の競馬人生に深く影響を与えた庄田という人物は既に亡くなっていたのですね。もしかしたら辞めたとか引退したとかかなとも思っていましたが。
回想を見るに、朝川の主観を抜きにしても素晴らしい競馬人であった模様。そこまで熱心に一つのことだけに熱を注げる人間はそうそういません。文字通り死ぬほど競馬を愛した人だったということでしょうし。
かの人物の話を語り継ぎ、今度は朝川からアリスへと世代が継承されていくのでしょうかね。でもアリスちゃんは酒とか煙草に溺れず頑張ってってほしいなぁ…。
【文章】
安定のガチ競馬一色。見ていて清々しいまであります。
プロ勢が集まって会議や話し合いをしている最中の用語連発なんてもはや日本語かどうかすらわからなくなるレベルです。見ているだけなのにこっちまで玄人になった気分で読めます。
今回はワールドエンブリオという馬がメインとなって話が構成されているように思えました。ザラストホース、シャインマスカットに次ぐ新たな猛者の出現といったところでしょうか。
タイトルにもある約束の地の伏線も無事回収。なんだか『風の向こう側』に似たものがありますね。行き着く先、その果て。馬だけでなく人が見据える終着点。
新人のアリスに見え掛けていて、ベテランの朝川には未だ見つけられないもの。興味深いですね、朝川にとっての約束の地はどこなのか、それがいつ見えて来るのか。それがタイトルを冠しているこの作品が目指しているゴールの一端なのかもしれません。
【ざっくり感想】
ふとした疑問。朝川はいつも仕事熱心に競馬のあれこれを後輩に教えたり自ら情報収集したりしてますが、私生活とかほっとんど出てないですよね?奥さん大丈夫?理解力のある人のようだけれど、この競馬という世界において妻子持ちなどは離婚率高そうで怖い。
伊藤さんのように、朝川も我が子にはやはり競馬界の後釜を担わせたりとか考えたりするのですかね?そしてその頃にはベテランになっているアリスが教えてたりして。
それはともかく、今回は慌ただしい状況の中でそれぞれ馬なり騎手なりトラックマンなりの忙しさが垣間見える場面が多かったですね。故人庄田さん然り、新たな仕事か役職かを請け負うことになりそうな朝川の今後も忙殺は確定のようです。
デスクは一体朝川に何を持ち込んだのでしょうか。私、気になります!