Neetel Inside ベータマガジン
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   「家路のクオリア」   作者:宮城毒素

   【作品内容】
 堂々の完結!なんだかんだで感想の中できちんと完結した作品ってあんまりなかったりするのですよね!最初期から追っていた作品だけに、完結をこうして見届けることが出来たのは嬉しい限りでございます。


   【人物】
 途中で一人称が逆転してしまった関係上、終盤まで兄弟のどっちがどっちだがいまいちわからないままでしたが、死にかけなのは弟の方だったのですね。このミスリードを前に何故だか鹽竈はG線上の魔王を思い出しました。ほんとなんでだ。
 輝石も大方予想通り死んでしまいましたし、クロユリもやはり輝石をモデルにして生み出されたオルトシアだったと。輝石の笑顔が兄弟の母親によく似ていたというのはさして深い伏線ではなかったのですね!深読みし過ぎて恥ずかしい。
 なんだかんだで悠も太一も似通っている部分は多かったようにも思えます。互いに自分の本心を理解していながら目を逸らし偽っていた辺りとか。不器用だったんですね。
 きちんとキャラクターとして登場したオルトシアがクロユリくらいしかいないのでいまひとつ判断に困るのですが、クロユリはオルトシアとしてはかなり人間味があった方なのではないでしょうか。たぶん他のはもっと機械的で無機質な感じ?が強そうな。そういう部分の判断材料がもっとあれば、クロユリという機械人形の特別さが目立ったやもしれませんね。
 兄は弟との今生の別れを果たし、弟は好きだった女に似たオルトシアと逃げ延び、その二人を最期まで家族として共に在ることを切望していた輝石は身投げ…と、それぞれが何かしら欠け落ち失い結末としてはあまり幸せなものとは行きませんでした。まぁ安定の宮城毒素ワールドのお話だと考えれば平常運転なのではありますが!


   【文章】
 それぞれの苦悩や葛藤が細かに描かれており、またそれが互いにすれ違い噛み合わず和解にまで至れなかったもどかしさを最後まで胸に残していってくれる…いつもの文章でした。
 意固地にならずにちゃんと話し合っていれば輝石無しでも仲直りくらいは出来そうな空気だっただけにもどかしさがさらに加速、そのまま別れてしまったことで悲壮が直撃、どうにもならない奇妙な現実味を前に不屈であるはずの鹽竈の心が鉄壁を貫いて撃墜、精神ポイントが尽きて詰み。やめて!鹽竈のライフはもうゼロよ!!


   【ざっくり感想】
 せめて、せめて兄弟はともかく輝石には幸せになってほしかった…っ!
 でもなんだかんだで兄弟は生き延びたし、最悪の展開だけは避けられたのかな?弟なんて瀕死で死ぬしかないと思ってましたし。
 あのあと兄はどうするのだろう。まさかまだオルトシアなりミネルバなりの開発を続けて行ったりはしないでしょうけど…。え、じゃあもしかして一番マシなの悠じゃない?中身はともかく外見は男好きのする体つきで美少女、しかもセクサロイドとしても充分使えるお供がいるなんて!ポンコツだけど!
 とはいえ無事完結で安心。別に投げ作家の方ってわけではないのでそこは心配していなかったですが、欝々とした完全無欠のバットエンドではなくて良かったという意味での安心安堵。最後にもう一度、完結おめでとうございました!

       

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