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   「約束の地へ」   作者:藤沢

   【作品内容】
 お待ちしておりましたこの競馬小説。最新二話の感想となりますのでやや短めなものになってしまうのをお許しください。


   【人物】
 此度のスポットライトを浴びたのは主人公朝川とその後輩、五島とアリス。
 妻帯者である朝川は、妻が身籠って大変な時期でも自らの仕事に実直に勤しみます。
 自身が感じている通り、この辺りは故人である庄田を思わせるほどの競馬マンと化していますね。しかし独り身だった庄田と、妻を持ちやがて父となる予定の朝川とでは大きく事情が異なってきます。ここ大事にしないとヤバそう…。
 それと同時、五島はアリスと共に久方ぶりの乗馬において彼にとって小さくない確かな恐れ?トラウマ?と真っ向からぶつかることに。
 確かに騎手がどれだけしっかりしていようと、人馬一体となる競馬では人間の力のみではどうしようもない事態もあるわけで、そう考えると落馬による事故はどれだけ場数を踏んだプロでも有り得る話なわけですね。恐ろしいことです。
 五島には頑張ってアリスとの恋路を成就してもらいたいものです。唯一共に馬を駆れる仲というのは今後も大きなアドバンテージとなりそうですし。
 ところで今って確か文芸ニノべのコミカライズ企画が動いてましたよね?だっ、誰か早く狂気の笑みを浮かべ馬に跨り駆けるアリスちゃんの一枚絵を早く!


   【文章】
 相変わらずの安定した文章力。
 朝川の競馬に対する心意気、五島の乗馬に対する抵抗、アリスの未だ揺れたり振れたりする若い精神性などが上手いこと描写されていてとても良いと思われます。
 そしてなによりも登場人物の皆が皆、競馬だけでなく馬までをもちゃんと愛し慈しんでいるのが素晴らしいですね。本気で競馬というものにのめり込んでいる人間だけがその場にいて、それぞれがしっかりとその世界を見据えて進んでいるということがとてつもなく頼もしく感じます。


   【ざっくり感想】
 今回までの時点で朝川の疲労度がマックス値に達しそうで少し不安。仕事も大事だけど家族も大切にしてくださいね。でも生真面目だから仕事の方も頑張り過ぎて結果的に庄田と同じ末路を…とかいう展開にならないとも断言し切れない状況だからなぁ……。
 駿馬メンバーの今後にも期待を寄せつつ、競馬のメインたる騎手や名馬達のこれからも気になります。今だと安斎騎手とザラストホースか。
 競馬においては予想の当たり外れというものはありますが、明確な勝ち負けというものがありません(よね?)。だからこそ、今後どういった展開で人物や状況が動いて行くのかが毎回楽しみでもあります。
 次回は弥生賞ってのに向けての動き出しか、あるいは開始か。なんにしても落ち着いた日常回からの次が気になる段階となりました!

       

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