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ニノべ・文芸小説感想
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   「Z軸を投げ捨てて」   作者:はまらん

   【作品内容】
 全編読破した上での感想となります。過去にコメント欄でえろまって人にお願いされてたんで遅ればせながらもここで書きたいと思います。いやーしかしこんなに良い作品を紹介してくれたえろまって一体誰らんなのだろうか……。
 内容はごくごく普通の男子高校生達の日常物語。かと思いきや読んでいく内にそうではないということに気付くストーリー。一話を読んでおいおいまた古典的なヒロインの登場だなとか思わず最後まで読むことをお勧め致します。名作を初見切りさせようという狡猾な罠ですよそれは!
 いやていうかFAかっこいいな羨ましいなオイ。


   【人物】
 主人公四谷は明らかにギャグマンガみたいな補正の利いた超人設定。初めは鹽竈もそういうコメディ的なものだと信じて疑わなかったです。でも実際コイツだけは出て来る世界を間違えたバグキャラじみたガチ怪物なのだった。
 全ての話に主人公らしく中心的な立ち位置で介入してくる四谷ですが普通に良いヤツ。ただしギャルゲーで言うなら主人公の親友ポジションのような男。主人公なのにサブキャラのような男。悪魔を素手で殴り殺し凶悪メイドロボを取り押さえトラックに撥ねられても無傷のサブキャラ。今の世ならトラックに撥ねられたら異世界に転生するのがデフォだというのにそれすら許されない無敵の男子高校生である。読破した後に考えるとめちゃ可哀想な少年だな…。
 ただ先述の通り性格は快活ですこぶる好感の持てるキャラクターで、なんでコイツにヒロインがあてがわれないのか不思議なレベルの主人公っぷり。まぁそれがこの物語の肝なのですが。
 四谷の友人もそれぞれに魅力のある連中。ヒロインとワンセットでそれぞれ別のラノベを発刊できそうな設定持ち達。個人的にはケモ耳萌えなので是非とも渋谷さんには盛大に転生トラックにミンチにされてほしかったです。よよぎちゃんは僕が責任持って面倒見てにゃんにゃんするので安心してどうぞ。
 あとは猫耳とニーソとメイドの趣向だけは気が合いそうな露出と触手とふたなりフェチことお兄ちゃ……きゃっ、ま、間違えました申し訳ありませんロリコンの変態野郎!の上野もなんか地味に好きでしたかね、色々こじらせまくってますけど。
 今作品において人物への指摘点は特に無し。というか取り上げていたらキリがないし、これは意図的にテンプレを組み上げている展開の都合上指摘すべきポイントではないのです。


   【文章】
 これも既に言うべきところが無いと言うか、かつて大文量を誇る官能小説を読み尽くした当方としては別段書き連ねるべきこともないというか…。
 とりあえず女中の続き早く更新してくれませんか?


   【ざっくり感想】
 非常に読み易く、それでいて読み応えのある良作でありました。薦めてくださったえろま先生ありがとうございますー!
 なんやかんやでエターナル童貞神も最後には同族(?)の相手を見つけて鹽竈好みのハッピーエンド!やったね四谷、神性消えるよ!
 世界観についてはあえて触れない方向で!おかしな組織とか吸血鬼とかターミネーターとかそういうのいちいち気にしてると生きていけないワールドだから仕方ないね!鹽竈も今後は路上の犬猫とかをよく注視して恩を売り付けるようにしまっす!
 

     


   「かわりもの」   作者:若樹ひろし

   【作品内容】
 鹽竈が長いこと感想を空けてしまったせいでこちらの更新にも迷惑をお掛けしてしまったようで非常に申し訳ない…。というわけで最終話を迎えていた若樹ひろし先生の今作の感想も遅ればせながら書かせて頂きたいと思います!最終話と手前の二話分になりますね。


   【人物】
 前回の感想からの新規登場人物はそう多くないですね。ようやく豊と静香の関係性の真意が明らかにされましたが、結局なんだか釈然としなかった感は強いかも。作中の本人達の心情と同じく、ただの情のみで動いていたわけではないからかな?
 人物面で指摘すべきは印象の薄さだと感じました。みそかは最初からとうとう最後までなんだかヒロインし切れなかったキャラクターだったし、かと思えば一番ヒロインやってたアキコは一言の出番すら貰えなかった始末。正妻ポジの静香も前述の通りうーんな感じ、そもそも出番が最終盤だったのが痛い。やっと出たと思ったらあっという間に最終話でしたし。
 個人的な意見として考えてくだされば幸いですが、あまり小説における人物の部分を大事にされていない印象を抱きました。
 やっぱり読者は人情に篤い熱血漢とか格好いい台詞とかを繰り出してくれるキャラクター(個人差によります)が物語の中で縦横無尽に動き回ることを善しとしてお話しを読みます。無論のこと物語の構成も重要ですが、いくら魅力的な世界観や設定でも、その世界でよりスポットを浴びて活躍する人間達が面白味の無い人格ではせっかくの舞台が台無しになります。これは逆も同じく言えることではありますが。
 そういう認識を持つ鹽竈としては、おざなりな人物設定や描写は小説そのものの注目度に直結すると考えています。こういうのフルカウンターで自分に返ってくるから辛い、棘の付いたキーボードでタイピングしてる気分です……。


   【文章】
 あまり激情的にならず淡々と会話していく流れ好きです。ドライな関係性がよく分かるので利害の一致だけで手を組んでる彼ららしいと思いました。
 ただ必要最小限でギュッとコンパクトにされ過ぎなイメージも。最終盤のネタばらしの辺りでも話の主導権を握られっぱなしで、ただ鸚鵡返しだったり分からないままに問い返したりといった具合でネタばらしというかその為にキャラクターが喋らせられているように思えてしまいました。少しは自力で解いてほしかったかな、とも。
 いくつか気になる点も。

 『失ったものが多い分、空虚は大きくなり、最早、空虚感など無い。』
 言いたいことは分かるのですが、言い回しを少し変えた方がいいかなと。同じ単語を用いているのでとてつもない空虚感なのかそうでないのかという疑問が生まれてしまいました。

 『だが、命と引き換えに全てを失った。言葉の通り、命以外、何も無くなってしまった。』
 『ただ、もう一つ残ったものがある。』
 地位も権力も家族すらも失くしたとあって強調に強調を重ねた絶望感のあとにおかしな文が続いてしまって、「いや残ってるんかーい」って突っ込みたくなり申した。すみません。

 まぁこれらはあくまでも個人的な意見でして、んなモン気にしてんのテメェだけだよ禿げろ小心者って言われてしまえばもうそれまででして。毎度の如く保険を張ってますがこの感想は鹽竈という小物一人による読書感想文でしかないのでそこまで気に掛けるものではないですよということをこの場で言わせて頂きたい!!


   【ざっくり感想】
 ついに最終話までの感想を書かせてもらいまして。感じたことは全編通してほぼ一貫していたとかなーと。
 たまに鹽竈は小説を色や味で想像することがあります。目に痛いくらいの色だったり胸やけするくらいの味だったり、そういうものを感じることがあるのです。いや別に病気じゃなくて感覚の話ですから引かないでください。
 そういう感覚で捉えると、やはりこの作品は味も色も薄いと、そう感じてしまうのです。味という意味では設定、色という意味では人物…でしょうか。
 でも実際のところ設定自体は普通に好きだったんですよね、着た服に応じて姿形が変化するっていうのは最初すごいそそられました。悔やむべきはそれの使い手たるみそかの扱いがぞんざいだったことかと。味は独特で好みなのにそれが入ってるパッケージが薄すぎて見えない!みたいな?自分でも何言ってんのかわからなくなってきたこの辺にしとかないと本当に病院紹介されかねないな…。
 文体や表現描写は面白く、若樹ひろしという先生のスタイルが一見して窺える風味があったのでそこも是非維持増進していってくだされば!
 今現在はかわりものを終えて新たに作品を執筆しておられるようでとても嬉しいです。今後も精力的に新都社を盛り上げてってくだせぇ!!

       

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