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ニノべ・文芸小説感想
十二月十一日更新ニノべ感想

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 十二月十一日のニノべ更新・六作品

 とうとう今年も最後の月ですね。毎度毎度の鹽竈です。
 うーん七月から始めたニノべ感想も早八回目となりまして。コメントもなんか250近くなってますし。えらいこっちゃですねコレ。
 前々からニノべ八周年にちなんで八回目で最終回としようと公言しておりました。つまり今回になりますね!
 でもなんか、いざやめようと思うと名残惜しくなってしまうのも事実です。実際どうしようかちょっと迷っていたりもしますが…。
 ともあれひとまずは感想ですね。おそらく今年最後になるであろう感想日更新作品はこちら!

 ・『約束の地へ』
 ・『魔法少女マリア The pleasure』
 ・『非正規英雄(アルバイトヒーロー)』
 ・『注文の多い料理店やないかい』
 ・『かわりもの』
 ・『家路のクオリア』

 まずはあれですか、あのよくわからない作画募集の荒らしみたいなのが十一日の更新に消されていたのが助かりましたね。あのまま残っていても感想書く気はありませんでしたが。
 さらに我々のリレー小説、これ実際どうしようか…。自分も関わってる作品ですし、感想どうしたもんだろうか……。
 数自体はさほど多くはないですが、更新の速い魔法少女やひっさびさのえろま先生の大ボリューム官能小説など、読み応えのある作品があったりするので結局全て仕上がる頃には今年も終わる辺りかもですね。
 新たな作者さんも見えますし、今回も楽しんで読んでいければと思います。

     


   「約束の地へ」   作者:藤沢

   【作品内容】
 前回から続けての感想日更新あざっす!中々興味深い作品ですね、個人的には。まったく未知の領域であるからか、妙に惹かれてしまうものがあります。
 三話ほど更新されていましたので、その感想を綴りますよー。


   【人物】
 主人公の朝川の元に、新人後輩の伊藤有栖がやってきます。新キャラですね。作者曰く、用語集に代わる競馬解説の役割を担わせたキャラクターだそうで。確かにこれなら本編とは別枠で用語集を作ることも読者が見ることもせず、あくまで本編中で自然に知識の無い読者などが競馬のイロハを知ることが出来ます。
 かと言って無理矢理に登場させたキャラではなく、ここも自然に新入社員という形で、なおかつ競馬界の大御所の姪っ子という立ち位置で登場させたのは上手いなーと思いました。いずれはその大物人物たる伊藤敏幸という方の出番もあるのでしょうか。
 ってかアリスが普通に可愛い。どこぞの魔法少女も病み壊れてて可愛かったけど、これは違うベクトルで普通に可愛い。娘にしたい。
 主人公が妻子持ちであるという点からしても、充分に師弟関係でヒロイン枠これ来ましたよ。まさか競馬小説でヒロイン枠なるものが存在するとは考えていませんでしたが(笑)。
 さらにアリスに加え竹淵厩舎という関東トップクラスのボス的存在に所属する調教助手の古城や安斎という名も登場し、ますます競馬世界の荒波が垣間見えて来ました。次なるスポットは竹淵厩舎ザラストホースか!?


   【文章】
 前述の通り新人のキャラクターを登場させることで、十二分に保有されている競馬知識からさらに競馬未経験の人間にも優しい解説付きのワールド展開が成され始めました。読んでいるだけで競馬のなんたるかを理解できていきそうな気がします。
 説明自体も極めて丁寧でいてわかりやすく、鹽竈自身『どういう意味だこれ?』と感じていたものをしっかりアリスが代弁してくれていました。ハロンの話とかですね。
 文章の内容には問題一切ありません。ですが哀しいかな、解説の為に長文を強いられるが故の文量ブロック化。ソルト名義を明かした今だから言えますが自分も嫌というほど経験しています。
 ようするに、改行するポイントを見つけられず、長々とした文章が一つの塊のようになって何行も続いてしまう現象のことですね。
 未経験者の為に競馬用語解説などを交えた話を設けてくれているのは非常に助かるのですが、それによって上記の現象が起き気味になっているかな、と。行頭も空いていないので、文章の起点がどこなのかわからなくなってしまうのも読む上で難点となってしまっているかもです。
 玄人朝川と新人アリスとの会話のように、台詞として交互に競馬の専門知識を紐解いていく方が読む側としては分かり易いかもしれないと思う反面、台詞重視によって地の文が疎かになってしまうのも本末転倒だと思うのでとても難しいところですね…。
 鹽竈的にはあまり個人の作風に深入りした物言いを控えたいところなので、この辺り藤沢先生がどう捉えるかによるとしか言えません。別にこのままの文でもさしたる大きな問題は無いので、そこまで重大な関心事でも無いとは思います!はい!


   【ざっくり感想】
 ファンタジーだのバトルだのが大好物な鹽竈がここまで競馬の話を楽しんで読むことになるとは自分自身で思ってもみませんでした。非常に読みやすく、内容も競馬一辺倒のギャンブル話だけではないのが大きいと思います。
 賭け事に興味無い、という方も読んでみることをお勧めしたいですね。競馬は深く浅くとのめり込んでいる深度の違いはあるでしょうが、嗜んでいる人自体は非常に多いと思いますし、話題のタネを一つこの作品で学んでみるというのもまた一興かと。
 競馬やってみたいけど知識ないし…そんな方などにはそれこそ勧めるべき一作。これを読んであなたもたちまちの内に競馬マスター。仕事?貯金?うるせえまずは馬券を買え!!
 …いや流石にそこまでは言いませんが、良いですよ普通に。ほんとにその内、友達に頼んで競馬場まで行ってみたいと思いました。藤沢先生調子良い馬教えてっ!

     


   「魔法少女マリア  The pleasure」   作者:どんべえは関西派

   【作品内容】
 すいません、随分と遅れました!仕事云々もそうなんですが、前作アリヤとか外伝とかまだ全部読んでなくて、それらを消化していたら時間取りました!
 さて、物語はアリヤから一年後となりまして。そうなると第一作からもう十年くらいは経過しているということですかね?これまでは一つの街でのわりかし小さめなスケールでの話だったのが、今作からは世界という大規模なステージでの展開となるようです。いよいよ話の終わり方がわからなくなってきましたが、どうなることやら?


   【人物】
 これアリスの妹じゃないですよね?もしかして死体いじって改造したとかそういうオチ?おそらくはボスであるアリスに対抗する唯一の戦力として名付けたのだとは思いますが。
 でもなんかこの子がシリーズ中で一番マトモな主人公かもしれない。三作目にしてようやく普通の子が…!でもまだわかりませんね、いざ戦闘に入ると狂気の笑みを浮かべながら敵勢力を惨殺とかやってもおかしくないから…。
 達也はだいぶ人でなしになってしまいました。自称してましたが、本当にマッドサイエンティストになってしまったようです。人体実験平気でしてるし。
 その達也によって生み出された新勢力、人造超能力者のユウキや人造兵器らしきデルタ。そして人造魔法少女のアリス。達也天才かよ…。
 どれもエネルギーには魔力のコアを必要とするようですが、それに見合った戦力は保有しているようですね。それに加えて世界最強の魔法少女であるフレイヤや歴戦の猛者である詩音に朱鷺、これもう勝ったんじゃない?ってレベルの戦力が勢揃いです。
 たぶんアリヤはアリスの側に付いたんでしょうね。この二つの勢力が世界の命運を分ける大勝負を仕掛ける…のが大筋かな。味方も敵も相当ヤバいの揃ってるんですけど。


   【文章】
 前に書いた感想のまま、ほぼ言うべきことは変わりませんね。四回も五回も同じ作者さんの感想を書いていると、指摘点とかがちょいちょい被っちゃうんですよねぇ…。
 でも文章はだいぶ改善されたのではないかな、と感じます。まだいくらかの誤字脱字は見受けられますが、うんでもだいぶ減りましたよね!
 あとは戦闘描写が時々よくわからなくなったりするのがありますかね。状況がどうなっているのか、どう動いているのかがいまいち判明しないような感じになることが。大体はわかるんですが、互いの間合いとか能力の発動による変化とか、そういうのがたまにわかりづらいなーと思ったりします。
 くど過ぎるのもあれなので、これくらいでちょうどいいかもしれないとか考えたりもしますけど、結局は作者の書き方と読者の解釈次第で大きく変動する部分だと思いますので、あまり深く追求することは避けようと思いますね!


   【ざっくり感想】
 物語はとうとう戦争状態にまで悪化。アリス率いる絶望少女勢と、達也率いる(?)人造兵器と魔法少女の連合勢力。どっちが勝っても世界が戦闘の余波で滅びそうな気がしてならない。またクライシスがなんかやらかしたりして。
 でも一作目から読んでいる身としても、アリスには何らかの救いがあってほしいですね。あんだけ頑張ってたのに、原初の魔法少女として討たれておしまいってのはあまりにも可哀想で。
 ところでユウキとデルタは明らかに魔法少女とはベクトルの違う能力を使っているみたいだけど、あれは何か意味があるのかな?科学で人工的に生み出された兵器だから違う特徴を宿しているってことだろうか。

     


   「非正規英雄(アルバイトヒーロー)」   作者:みんな

   【ざっくり感想】
 これは…ちょっと感想に該当されるのかどうか結構微妙なラインだと思うんですよね…。なんか自分も噛んでる作品だし、どんな感想を書いてもあざといとか媚びてるとかそういう感じになりそう。ちょこっと宣伝くらいはしておきましょうか。
 ニノべのリレー小説です。リレーというと自分はここでは『生贄の旅』くらいしか知りませんでしたけど、過去を辿るとあるものなのですね。今リレー小説に参加してくださっている885先生もかつて参加されていたそうですよ。

 終末の世界、活気の失われた人の世に降り立つ天使は言う。『神命に基づき悪魔を滅せよ』と。
 素質を見出された者は非正規ながらに神より賜った力を天使伝いに受け取り、英雄としての力を宿す。全ては人の世を荒らす悪魔と戦う為に。
 
 …と、まあ。三行で説明するとざっくりこんな感じです。面白いですよ!!!
 でも実際のところ、見知らぬ誰かとこうやってバトンを繋いでいくというのは中々どうして楽しいものです。今現在、自分こと鹽竈、どんべえは関西派先生、885先生、混じるバジル先生、宮城毒素先生の五名で繋いでいる状況に加え、ファイアーサンダー先生という方に挿絵などを書いてもらっています。
 他の方々も色んな発想で話を二転三転とさせていき、物語は代わる代わる紡がれています。しかも描いていただいた絵もヤバい、素人がこんなこと言うのは下手すると失礼ですらあるのかもしれないのですが、凄く上手い。挿絵だけでも一見の価値ありだと思いますよ!でもできれば中身も読んでみてくださいね!
 あと参加者ですね、今でも随時募集中でございます。一話だけでも、ちょこっとだけ…とかいう人でも全然構いません。大勢で一つの作品を織っていきましょうぞ。なんなら本編とは関係ないところでの話を作っても面白いですね。ミシュガルドみたいに。
 こんなところでしょうか。こちらの方でも引き続き鹽竈は頑張っていきますので、どうぞよしなにお願いします!

     


   「注文の多い料理店やないかい」   作者:えろま

   【作品内容】
 はい!大長編の塊のような超文量の官能小説二回目の感想になります。申し訳ない、読了までにかなりの時間を要してしまいました。なんとか今年中には間に合わせたいなと考えて、仕事の合間に前屈みになりながら読んでおりました!いやー危なかった(色々と)…。
 前回はこの内の三つを読まさせて頂きましたね。そして今回は残りを。まあ女中シリーズは前にもう読んでいたので良いのですが、他がですねー。これ一つ一つがニノべ作品を複数纏めても足りないほど長いお話ですので。いやはや中々読み応えありました!


   【物語詳細】
 
   『女中の襟に手を入れて(長編予定)』

『 紆余曲折の末に幸せな三人家族として生活していたハル達。マルカの誕生日も大成功の形で成し遂げ、最愛の妹を喜ばせる次なイベントはクリスマス。
 マルカの望むプレゼントを求め街に出たハルは、そこでとある少女に出会う。
 既視感すら覚えるほどに、妹として家族として迎え入れたマルカのかつての姿と雰囲気に、酷似した金髪の少女に。』

 うーん、やっぱりこのシリーズは良い。ほのぼのする。
 こっちの方はエロ少な目、というかほとんど無かったですね。ソフィア編ということで、ストーリー性を重視している感じでしょうか。
 ハルは相変わらずロクでもないように見えて普通に善人なんですよねー。満月さんも。いやそれ言ったらマルカもだけど。良い人しかいねえなこのお話。幸せな世界。
 ソフィアは昔のマルカと同じく中々深い闇を抱えていそうな雰囲気です。歳がより幼い分、ソフィアの方が凄惨な過去になってそう。正直知るのすらキツイ。何か悪いことをしたわけでもないのに、世知辛いですね…。
 一刻も早くソフィアちゃんが救われることを願うのみなので、えろま先生早く続きお願いします!いや急かすわけではないのですが!でもなるべく早く!


   『女中interlude(短編連作)』

『 それはある日のなんでもない一日。
 それはある日の倒錯的な時間。
 それはある日の家族の日々。
 たった四人を収める巨大な館は、今日もまた歓声と嬌声と悲鳴が木霊する。』

 いやもうなんか、これこれ!これこそ女中ですよね!!…って感じでした。
 もう凄い、正直倒錯的とかそんなレベルじゃない。満月さんは人間じゃない、新手のヴァギナ・デンタータでしたってネタバレ入ってもすんなり受け入れられるくらいにヤバい。グラトニーも真っ青の収納能力、その下の口はどうなってんの真理の扉に繋がってんの?
 着々と我らがヒロインマルカちゃんが変態プレイに染め上げられていってしまう、薄幸少女が常軌を逸した遥か遠い世界へ旅立ってしまう…。ソフィア止めろ早く姉引き止めろ手遅れになるぞ。
 キャラが四人しかいないはずなのにこの満腹感。濃すぎる、主に性依存症の変態と万能変態メイドのせいで。
 でもなんだかんだでほっこりしてしまう。悔しい、でも感じちゃう…!ちゃんと土台でシリアスやってたからか、のんびり平和な日々を送ってると微笑ましくなってしまうのです。
 こういう家族系が弱い鹽竈的にはドストライクなんですよねー女中シリーズ。


   『注文の多い料理店やないかい(完結)』

『 とある山の奥の奥。一度入り込めば帰ること叶わぬその最奥。
 迷いに迷ったワカメ頭の青年は、そこで奇妙な洋館を見つけます。
 どこかで聞いたことのある名前、どこか見覚えのあるルールを備えた料理店。
 そこで、どこぞの大富豪たる変態紳士はいつもと変わらぬように振る舞います。
 いつもと変わらず、倒錯に倒錯を重ねた、人道すら逸する嗜虐の限りを尽くします。』

 (これ女中シリーズだったのか……)
 全然関係ないものとばかり思っていました。でもこのド変態ワカメは明らかにアイツしかいない。これまでは一応それほど逸脱した世界観の話ではないと思っていたのですが、ここにきてその認識に亀裂が入り掛けました。猫耳の亜人種とか最高じゃないですかー!でも喰われるのは勘弁。
 相変わらず軽く引くレベルのプレイ内容でした。えろま先生はそんなに自分の身を肉欲の果てに捧げたいの…!?
 というか館の住人が増えてる。なんでムーン一家が揃ってるんですか、いつ来たお前ら。その内に本編で出て来るんですかね?


   『フェアリー・テイル(無期限休載)』

『 人と妖精の共存、それは遥か昔の話。
 人間に裏切られ滅ぼされた妖精の姫、ティターニアことティティはそれを断じて許さなかった。滅ぼし返さなければ、凌辱せねば、蹂躙の限りを尽くさねば気が済まなかった。
 友に裏切られ恋人は寝取られ、国からも追放された人間の男、グロウは国と同族たる人類に対し果ての無い怨嗟と憎悪を滾らせていた。皆殺しにしなければ気が狂いそうなほど、その身は憎しみに満ちていた。
 墜ちた姫君と奪われた勇者は絶望の底にて邂逅を果たす。共に目指すべき終着は同じ。
 復讐に焦がれ、ここに世を地獄と化す人間と妖精の血盟が相成った。』

 この先生のお書きになられるお話には酷いヒロインしか出ませんね!もちろん褒め言葉にてございますよ!
 予想を遥かに上回る重たい話、復讐劇だったんですねこれ…。
 ティティが最初おちゃらけた堕落変態妖精かと思ってたんですけど(別に間違いではなかったですが)、抱えている闇が相当深い。しかも隠された力みたいなの持ってる。キレたらやばそう。
 グロウの復讐は応援したくなるくらい凄惨な過去があるので是非ともアルベリヒの野郎をぶち殺してくださいはい!ってか持ってる武器カッコいいな、一瞬FF7のクラウドが持ってた合体剣を思い出しました。あれの槍バージョンって感じかな?
 物語的にはまだ中盤差し掛からないくらいでしょうか。似非勇者との決着とか恩師との決闘とかティティの真相とかワダツミちゃんとの和姦とかやってないこと色々ありますしね!ちょっとお願いですからそろそろグロウ様もまともな人間の女の子とまともなエロやってくださいよワダツミちゃん可愛いじゃないですか!!
 無期限休載ってのが悲しいところですね、しかし鹽竈はいつまでもお待ちしておりますよ!!


   『TITI`Sキッチン(短編連作)』

『 妖精姫の頭は致命的なまでに酷い。何がどう酷いか、説明することすら億劫になるほど。それに付き合わされる人間、グロウの胸中は推して知るべきであった。
 今日も今日とて、人の世に復讐をと誓い合った盟友の乱痴気騒ぎに巻き込まれるグロウなのであった。』

 …………(無言のドン引き)。
 この子病気だわ、不治の病だわ、死んでも治らないヤツだわ……。
 ていうかもう、タイトル…すごい聞き覚えある…あの、あれ……オリーブオイル的なアレ…。
 凄いよえろま先生、こんな発想が出来ることを純粋に称賛したい。でも流石にこれは抜けない、萎えます。
 これは純愛なんでしょうか、いいえ歪な愛です。グロウ様も死なないからって小動物的なサイズの妖精を容赦なく虐め抜けるメンタルは異常の一言で片づけられるのではないでしょうか。
 しかも外伝ですらワダツミちゃん出番ほぼ無しじゃないですか!短編連作なら一度くらいメインに据えてお話作ってくれてもいいじゃないですかーやだー!


   『蟻竜についての手記(中編)』

『 二人の男が漂着した、一つの惑星。未開の地、未知の種族が跋扈するそこへ恐る恐る踏み入れる。そこには限りなく人類に類似した人型の生命―――蟻竜が生息していた。
 決して侮辱や侮蔑の意図なくして、しかしその蟻竜は野蛮な種族であったと手記は語る。
 漂着人の片割れ、ドワイト・ジェームズが記したそれには、救出艇が来るまでの間に起きた酒池肉林の日々が事細かに記載されていた。』

 うーん、エロい。ファックしたい、されたい。
 ……なんかこの蟻竜に限らず今作品をずっと読んでたら頭が麻痺してきたような気が…錯覚かな。今なら少しくらい齧られてもいいような気分になってます。
 結局ドワイトも蟻竜として染まってしまっていた、というオチですかね。長く異なる環境に居続けたが故の汚染…この星の基準に則るのなら常識?に飲み込まれてしまった的な。
 でもまあ、あんな歓待されて甘美で淫靡な日々を送れるのなら、ちょっと行ってみたいなーと思ってしまうのは責められることではないでしょう。だって男の子だもの。


   【人物】
 散々上で書いたのにこれ以上この項目必要あるかな?鹽竈は無いなぁ…と思いますけども。
 大体エロいですね、人が。うんエロい。
 自分の性欲に正直な連中がとても多い!まあ生真面目しかいなかったらエロが成立しないんですけど。
 それぞれが強い性欲を持っていたり、あるいは特殊な性癖を抱えている者がいる中で、それを受け止めた上で共に興奮できる相手が出来るという奇跡的な巡り合わせの中で発生しているのがこの官能小説ですね。
 人外の化物であったり、変態御主人であったり、はたまた異星の亜人種だったり。普通の人間の女でなくとも欲情できる男ありきでの物語が大半を占める今作は、読んでいる側も相応の性癖を必須としなければ実用性が薄いのかなと感じますね。あ、女中は普通に抜けましたはい、ありがとうございました!


   【文章】
 文句無しですね!一応、膨大な文量を追い掛けながらも言い回しや誤字脱字を注意しながら見ていたのですが、全然ない!なにこれどうなってんですか?
 以前にも書いたような気がしますが、普通に書籍化されているそれらと比べても遜色ないレベルに高い構成と文章力をお持ちであると感じました。ってか指摘する点のあり過ぎる雑な文章だったらこれだけの量を読破することは叶わなかったでしょう。そういう意味でもえろま先生にはひたすら感謝の念を禁じ得ません。
 というわけで、特に挙げるべき点は無し!ということでっ!!
 いや手抜きじゃないですほんとです。


   【ざっくり感想】
 いやー……読み切りました。読了後のこのなんともいえない感覚、ソナタの読了後にも似た感じを覚えました。長い長い物語を手繰り、ようやく一段落つく所まで辿り着いた歓喜と、それに少しだけ混じる寂寥感、のような何か。
 まあ下手なポエムは自身を黒歴史という破滅を追いやるだけなので控えておくとして。でもなんかすっきりしました。特に年内に読み終えるという目標を達成したことが大きいでしょう。
 読み終えてからふと思い返してみれば、年を越すという間際になってなんで僕はこんなムラムラとした気分になっているのだろうと。ひたすら悶々とします。
 官能小説としてはとても機能している作品だと思います。ただ上記で挙げた通り、いくつかのものは特殊な性癖をお持ちでないといざ実用とはいかないやもしれません。

 ・食べたい(物理)、食べられたい(比喩無し)という人。
 ・普通の人間との性交に飽いた人、人ならざるものとのまぐわいを渇望する人。
 ・変態。

 この辺りに該当する人は大体全部のお話で興奮できると思います。
 個人的にはやはり何度でも言いますが女中シリーズ、次いでこれも女中に含まれると思いますがケモ耳愛好家として料理店、あとはのじゃロリを嗜む一人としては祓魔の血脈もオススメしたいところですかね!
 ヒロインとしてはダントツの大正義正妻マルカちゃん、あとはワダツミちゃんが好きです。メイドも良いですが日本人たるもの、やはり和装も好きですねぇ。
 …なんかこれ以上続けると鹽竈も妙な変態性を引き摺り出されそうなのでこの辺にしときたいと思います。
 未だ完結に至らぬ作品も、続きが気になるばかりです。フェアリー・テイルなんかはもうエロ抜きで普通に続きを読みたいんですけど!

     


   「かわりもの」   作者:若樹ひろし

   【作品内容】
 初めて感想を書く方ですね、ありがとうございます。なにやらTwitter辺りでこの感想のことを知って頂けたようで、嬉しい限りでございます!
 まあたいしたことは書けませんが、拙いながらに何か為になることの一つでも捻り出せれば幸いです。
 さて物語は『かわりもの』たるタイトル通り、愛着のある服を纏うことでその人物に変身することが出来るという少女を起点に始まります。なんだか世にも奇妙な物語みたいで興味をそそられる内容でございました。
 

   【人物】
 名も無き主人公とヒロイン(?)と今時の少年少女。登場人物は少なめですね。まだ物語が序盤も序盤なので仕方のないことですが。
 主人公の影が薄そう、今一つこれといった特徴のない普通の社会人だからでしょうか。逆に言えば、ラノベのキャラクターのようにこれみよがしな口調や姿をしていないのがリアルな現代社会の人物像として描写されているとも取れますね。
 少女はわりとクール、寡黙?記憶がない故の慎ましやかさなのかもしれませんが、持ってる能力の特異さが際立って一番キャラも立ってます。学園モノでない以上、学生服を着ている希少性自体もキャラとしてのシンボル足り得ているのも大きいですね。
 あとは何故か主人公とヒロインを差し置いて名前を獲得している今時少年少女三人。こっちはよくわからないですね、何やら篤い絆で結ばれているようですけど、まだ現段階ではどういった関係なのかが不明なので…。


   【文章】
 これといっておかしな点は見受けられませんね。台詞と地の文のバランスもちょうどいいですし、文章を書く上でのポイントはあらかた押さえてあると思います。
 ただ、これは文章の問題ではないのですが登場人物の特徴が薄いというか弱いというか。今はまだ五人程度しか出ていないのでいいのですが、脳内で描くキャラクターのイメージが今一つモブのそれに近い感覚があります。
 全体的に淡々と喋る会話が多く、誰が話しているかの補足が入らないと本当に誰の台詞なのかが不鮮明になってしまう部分が散見されます。唯一台詞だけではっきり誰と判別できるのは、チャラい今風な女言葉で話す山ガールくらいでしょうか。ちゃんと台詞の前後で逐一誰が口を開いているのかを明示しているので分かるのですが、これが複数人で一斉に話し出されたりするとやや混乱してしまいますね。
 無理して特徴的な口調にする必要は無いのですが、たとえば主人公であれば疲れ果てているので終始どうでもよさような様子で三点リーダーを交えた怠そうな話し方とか、ケンイチは強気な言葉遣いであるとか、そういうのがあるとキャラとしても読者は認識し易くなるかもです!
 

   【ざっくり感想】
 これ長編か短編かわからないのですが、話の展開が少し駆け足気味のように思えました。
 主人公と少女が突然の出会いを果たしてから今時少年少女の押し掛けが来るまでも早いし、その退散までも手早く片づけてしまったので、なんとなく少女の能力をチュートリアルで展開したようにも見えます。今時少年らもその為のぽっと出モブとして扱われたかのような感じがありますね。実際そうなのかもしれませんが。
 山ガールがほとんど初対面の大人に少年らとの関係や家族の内情などを吐露するのもちょいと違和感が残ります。いきなり生死不明の兄に似てるとか言われても、主人公だって困りますよね、突拍子無いし。そういうところも疑問やら覚えてしまいます。
 だからまあ、総合するとやっぱり展開が早いの一言に尽きると思います。自分の事情を語るにしてもある程度の関わり合いが無いといきなり話し出すのはおかしいと感じてしまうのは無理ないことなんじゃないかなぁ、と。
 まだ作品としても始まったばかりのお話ですので、現状書けるのはこのくらいでしょうか。少女の能力を見るにジャンルはちょいファンタジー?SF?その辺りになるんですかね。彼女が何者なのかで今後の展開も分かれてくると思いますし、まずはそれ待ちになりますね!案外宇宙人だったりして…。

     


   「家路のクオリア」   作者:宮城毒素

   【作品内容】
 リレー小説の同志、宮城先生!前回に引き続き今回も『家路のクオリア』の感想ということでよろしくお願いします!ってかそういえば宮城先生も絵がとてもお上手じゃないですか挿絵描いていただけませんかー!?


   【人物】
 新規の登場人物は母親くらいですかね。滅多に家におらず、いたとしてもさして家族としての会話は行われない淡白な家庭。仕事熱心というか、それにのみ情熱を傾けた人ってことかな。これで家族の形が最低限でも保っていられるのが不思議。
 なんというか、宮城毒素先生の作品全般で感じることなのですが、登場人物が大体なんか冷静というか冷血というか、あまり感情を表に出すキャラが少ないですね。主人公も色々と感じ考えているはずなのに、それを声高に表したりはしませんし。
 どう言えばいいのか。内面は非常に人間らしいのに、それを外面で分かる形として出力されることがあまり無いというか。結果的になんだか無感情な人間だなぁと感じてしまうことが多いような気がします。単純に毒素先生の展開する世界に病みっ子が多いのもあるのでしょうが!
 そういえば今回はわりとまともな人ばっかりだな…いないといないで病んでる娘が恋しくなってきてしまう…。


   【文章】
 鹽竈はですね、皆勤賞の毒素先生の感想をもう七回もこなしてきているのです。そんな自分に、これ以上何を書けというのでしょうか。というか四回も五回も感想を書いている辺りの作者さん方の【文章】項目は毎度どうしたものかと頭を悩ませたりします…。
 でも、そうですね。文章の合間に差し挟まれる補足というか追加の表現が少しばかりくどいかなと思う部分が今作にはありました。いくつか挙げますね。

『 僕は今でも信じられないでいる。あの父と、あの母が、恋愛―――或いはお見合い、その他―――をして結婚して、僕と兄を産んだことが。』
『 料理も洗濯も掃除も、すべて家族で分担しているし、その上で必然的に伴うコミュニケーションは―――いくらか淡白ではあるが―――淀みひとつなく図られている。』
『 母を好ましく思わないのと同時に、僕の中にはそうした一定の理解―――或いは納得―――も存在していた。』
『 僕は―――空腹ではなかったけれど、習慣として―――賞味期限が近づいてきた食パンを袋から取り出してトースターに入れる。』

 こういう感じのが他にもいくつか見られます。悪いというわけではないのですが、あまり多用するのはどうなのかなと鹽竈的には。仮にこれを()に収めて処理したとしても読む上で少し面倒臭さを覚えるかと思いました。
 これまで見てきた五つの作品の中では見られない書き方だったのでもしかしたら試験的に運用しているだけなのかもしれませんが。鹽竈的にはこれまでの毒素先生の書く文章の方が好みだったですね。
 個人的主観を抜きにしても、現段階を読了した一読者としても上記の方法は使うにしても頻度はやや抑えめにした方がいいかもしれませんと思ったりなんだりしたりしました。


   【ざっくり感想】
 序盤と終盤が入り乱れる特殊な展開の仕方をしております今作、これ主人公の死が確定してますよね…。結局クロユリは一体なんなんだろうか?
 最新話にて家族の崩壊が示唆される内容がぽろっと出ていましたが。どうも最終的にはハッピーエンドとはいかなさそうです。嫌な予感しかしなーい。
 おそらく今年はもう更新ないのかな?続きは来年に期待するとして、今回はここまでということにします!

     


 勝ったッ!第八回完!
 …いやーマジで危なかった、間に合って良かった。正直無理かと半分くらい。
 年末ということでええ、片付けしたり掃除したり人理焼却を阻止する為に戦ったりと色々ありまして、まあどうにか第八回も無事に終えることが出来ました。
 八回か、思えば七月の頭から初めて早半年近くですか。長かったようで、短かったような。
 ああ、様々な作品を読むことが出来ました。多くのコメントに励まされ、四苦八苦しながらも拙い感想に付き合ってくれた方々には感謝の言葉が尽きません。
 …………さて、

 次の感想日は一月三日!!寝正月もいいですけど、もし時間を持て余すようなことがあれば是非とも合わせて更新して頂けたら鹽竈とっても嬉しいですね!!

 来年、第九回、やります!
 すいません怒らないで!八回で最終回かもとかほざいてたのに普通に続けてごめんなさい!
 でも、正直な話は楽しくなってきたのが大きいです。最初は自身の文章力向上の為に他の作品を拝見し、その感想を綴り自分自身への糧として学んでいくことを第一としていましたが、いつの間にやら感想を書くこと自体が楽しくなっていましたね。
 あとはコメントの数々でしょうか。続きを望んでくれている声がいくつかあったのが鹽竈としても凄く嬉しいことでした。ですので、もう少し続けてみようかなと。
 でもそろそろ鹽竈もソルトとして自作品を進めていきたいと考えているところもありますので、以前と比べると感想は失速気味になってしまうかもしれません。そこらへんはご容赦頂きたいです。
 そして理由としては三つ目、今現在リレー小説を展開している身である鹽竈、その縁はこの感想の場にて結ばれたものでした。今後もそういうことがあればより楽しいな、と単純にそういうことを思ったのもあります。ここなら作品読みながら作者さんのことリレーに勧誘できたりしますし!
 というわけで今年は終わりますが、よろしければまた来年も!数々の作品に出合えることを願っております!
 今年もお疲れ様でしたー!皆々様が良き年を迎えられますように。

       

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