イチサン。1-7 日も暮れて
自宅に帰ってきたミコ。
イチローの作業部屋に入ってくる。
ミコ、「面白くない」という顔。
ミコ:ただいま。
イチロー:うん。
ミコ:兄ちゃん。知ってたなら早く来てください。
あたしはタイヘンだったです。
イチロー、黒猫をイジっている。
イチロー:タイヘンそうだったねー。
回想シーン。↓
建物の影
傀儡箱を持って立っている胡野まい。
遠目に大上、なる、ミコ、黒猫の
成り行きをみてオロオロしている。
まいは、大上がボロボロになる様をみて
「あっ。」という表情をする。
箱を取り上げる手。
まい、はっとして振り向く。
イチローがいる。
まい、不意によろめき、地面にペタンと
座り込む。
イチロー、まいに手を差しのべながら
イチロー:驚かせてしまいましたね。
まい、イチローの手を取る。
口が小さく空いている。
イチロー、まいの手を引き上げる
まいは、イチローの手を見つめている
頬が赤い。
イチロー:胡野まいさんですね。
これはあなたの様な娘さんは持ってない
ほうがいい。
これのために、お友達も、あなたも、
傷付くことになりませんか。
そして、その傷はなかなか癒えない。
イチロー 、ほほえみ。見つめ返す。
まい、驚いて目を見開く。頬が真っ赤。
イチロー:大事に至らなくてよかった。
さあ。お友達に謝りにいきませんか。
僕もついて行きます。
まい、小さく「はい。」と返事する。
まいの背中を押して歩き出す。
まいはそれに従う。
イチローの顔を見上げ歩いて行く。
回想シーン終わり
ミコ:なんですか。それ。
あたしホント、タイヘンだったんですよ。
・・・デレデレして。
イチロー:うん?なに?
ミコ:何も言って無いです。
イチロー:「穏便に」いくのはムリかな。
イチロー、手に傀儡箱を持ち上げる
イチロー:傀儡箱。渡してもらえば解決して
たんじゃないの?
制服だってボロボロだし、何着目?
ミコ:・・現場はそういうモンじゃないん
です。
ミコ、顔を赤らめる。
イチロー、ミコに目を向ける。
目元が笑っている
イチロー:言い過ぎたかな。
さて。お茶にしようかね。
まろやかプリン冷蔵庫にあるよ。
食べないのか?
イチロー、席を立つ
ミコ:食べるに決まってます。
・・話し逸らして、、
プリンなんかじゃ誤魔化されないですよ。
まったくもう。
ミコ、イチローの後を追い 、部屋を出ていく。