Neetel Inside 文芸新都
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鬼の宴に 鬼は哭く
0:鬼の始まり

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 骨統一国家甲皇国……今はそう名付けられた国がある。
今でこそこの国は人間族が第一等種族として君臨しているが、かつて
人間族は奴隷のように使役される種族に過ぎなかった。
その成り立ちを説明するには、まずはこの世界の成り立ちから始めねばならない。

遥か昔、この世界には天使と鬼(悪魔)……そして彼らからすれば野蛮な畜生とされる人間族が居た。
両者は初めこそ異なる種族ではあったものの、いがみ合いと歩み寄りを繰り返し、
やがて混ざり合い、やがて一つの種族となっていった。これが後のエルフとされている。
勿論、天使同士・鬼同士での交配によって純潔を保ち続けていた種族も居た。
彼らは「純潔種」とも「純血種」とも呼ばれた。
しかし、時代の流れと共に彼らの数も減少していくようになり、近親交配によってその純潔を保つ苦難に喘いだ。
その救済処置として、エルフは純潔を保っていた天使と鬼との交配を始めた。
天使の血を受け継いだエルフはエンジェルエルフ、鬼の血を受け継いだエルフはデーモンエルフとなり、
前者は天使の持つ翼と真っ白な肌と赤い目を受け継ぎ、後者は鬼の持つ黒い肌と牙を受け継ぎ
その後にダークエルフと呼ばれるようになった。
彼らはアルフヘイムに根を下ろし、そこを拠点とした。
エルフがアルフヘイムで第一等種族として君臨し、エルフこそこの世界で君臨すべき存在だと
過信する原理主義を生み出した所以はここにある。

だが、天使と悪魔の「純血種」たちの全てがエルフとの交配を受け入れたわけではなかった。
彼らはエルフたちによって第二等種族として扱われ、人間族ほどではないものの、社会的に差別されていた。
その差別から逃れるために
エルフとの交配を望む者たちと、人間との交配を望む者たちに分かれた。
前者はアルフヘイムに住むことを許され、後者は交配は認められたものの、アルフヘイムに住むことを許されず、
流刑地とされる骨の神ダヴが住むとされる大陸へと強制移住させられた。
かつて家畜、畜生とまで罵った下等な人間と性の交わりを望むような次元にまで堕落したクズ共と
同じ空気など吸いたくはないというアルフヘイムのエルフの考えが大きく影響していたことは否めない。


人間との交配を望んだ天使・鬼の各々の「純血種」たちは最初の方こそ
衝突を繰り返してはいたが、同じエルフによって迫害されていた境遇を理解し合うようになり
やがて激しい恋に落ちた。骨の神ダヴが住む大陸では、「純血種」と人間たちが互いの傷を癒し合う
楽園となったのである。やがて、時代は過ぎ……
この大陸は幾度も宗主国アルフヘイムのエルフたちの支配に苦しめられたが、
長い長い歳月の努力のかいもあり、ようやく独立を果たした。
そう、骨統一国家…通称:甲皇国として……

天使の「純血種」と交わった人間の子孫たちは甲・乙・丙家と枝分かれしていった。
様々な人種や種族の入れ替わりこそあったが、いずれにしろ元を正せば大多数の甲皇国国民が
この一族の内のどれかの血を引いていると言っても過言ではない。

では、鬼の「純血種」と交わった人間の子孫たちは何処にいったのか……?
実はここ数百年の間までそれは謎とされてきた。だが、ある歴史学者の研究により
ある一族の存在が浮かび上がってきた。鬼家という一族である。


彼ら鬼家の歴史を今、ここに記そう。

       

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