すがすがしい朝、俺は朝一番のウンコをしようと地面にしゃがみ込み、力んでいる最中だった。
今まさにウンコが肛門から顔を出そうとしていたその時、それは起こった。
「盗賊団が攻めてきたぞー!」
クソ!こんな時に限って、盗賊団の襲撃か!
次々と殺戮されていく街の住人達。
しかしチート能力のない俺にはなす術がなかった。
また俺は誰も救えないのか……
いや、やるんだ。俺は今までの俺とは違う。
そう決意した俺は、肛門まで出かかった便を無理やり引っ込めて立ち上がった。
「不浄なるものを洗浄せよ、ウォシュレット!!!」
俺が魔法を唱えた瞬間。水流に肛門を貫かれた盗賊団たちが「はふぅんッ」という断末魔を上げながら次々と倒れていく。
思った通りだ!尻を拭きなれていないせいで奴らの肛門は刺激に対してとても敏感だ。これならやれる!
しかしその思惑はあっさりと打ち砕かれた。
「ほう……俺の部下たちを倒すとは、なかなかの手練れだな」
そう言って俺の目の前に現れた盗賊団の首領は、全身フルプレートを身にまとった大男だった。
俺は首領の肛門目掛けてウォシュレットを放つが、水流は鉄の鎧に弾かれ、奴の肛門には今一歩届かなかった。
「どうした、もう攻撃はおしまいか?だったらこっちから行くぜ」
そういうと首領は俺の腹を思いっきり蹴り上げた。
プレートに覆われたつま先が腹部にめり込み、俺は脱糞しながら吹っ飛んだ。
ピロピロリーン
『カニナロウはレベルが上がった。風魔法ブックスメルを覚えた』
「こいつウンコ漏らしてやがるぜ!情けねー!」
脱糞した俺をみて、奴は汚物を見るような目で嘲笑っていた。
しかし俺はそんな言葉には耳を傾けず、ゆっくりと立ちあがりこういった。
「なあ、知ってるか?本屋に行くとウンコに行きたくなる理由を……ブックスメル」
「ッ!?まさかこの匂いは……本屋の香りッ!?くッ……便意がッ抑えきれない!」
奴は便意に我慢できずにフルプレートアーマーを脱いで尻を露出させた。
「今だ!ウォシュレット!」
「しっ!しまっ……はふぅんッ!」
こうして俺は一つの街を救った。
第四話完
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