さっきまで乗り気だったのが嘘のように、由良の顔が曇る。フレイヤは詳しい説明を始め、ついでに咲夜のことも紹介する。話が終わるまでは五分もかからなかった、由良は顔を曇らせると考え込む。
五分間ほど、そうやっていた由良だが暗い声でこう言った。
『うーん、別にいいけど』
「お願いね、報酬は弾むから」
『それはいいけど』
「それに、場合によっては他にも何人の魔法少女を集めることになるかもしれないから、その下調べね。あとついでに集める候補の魔法少女の名前も教えておくから、いつでも連絡取れるようにしてくれる?」
『……そういうことなら、しょうがないね。三人ほど派遣するわ、それもこっちのとっておきを』
「お願いね。じゃあ、名前を教えるね」
『準備は万端だ、いつでもいいぜ』
フレイヤは淡々とした口調で魔法少女たちの名前を述べていく。
総勢十人
ここまでの数が必要になるとは思っていなかったが、全員が来るとはとても思えなかったので少し多めに申請しておいたのだ。
由良はその名前を全て記憶すると、小さく頷いて言った。
『オケ、こいつらなら何とかなるだろう。とりあえずは偵察の結果が出たら連絡するわ。じゃあね』
「さようなら、また会いましょう」
ここで会話が終わった。
由良はネット世界から戻ってくると大きく伸びをして肩をほぐす。
そして、自分の後ろで集っている魔法少女たちに声をかける。彼女たちこそ、由良が雇っているベテランの傭兵魔法少女三人組だ。ことあるごとに由良の手足として日本中を飛びまわっているのだ。
その代わりに寝床とコアを提供している。
この三人と由良の関係は長いもので一年にもなる。
確実に仕事をこなす点を評価して、長いこと付き合っているのだ。
「彼岸、薔薇、そして朱鷺。出番だよ」
「私たちの出番なのですか」
「そうみたいですねー、薔薇さんさん」
「……お任せあれ」