そんな何気ない話をしていると、フレイヤのパソコンからピンポーンという甲高い音が鳴る。それと同時に部屋中の人間が黙り込み、一気にシーンとなる。何となくであるが全員察しがついていた。
由良からの連絡だ。
フレイヤはゆっくりとパソコンの前に座ると、パカッと開く。
そして画面をのぞき込む。
するとそこには暗い顔をした由良の姿が映っていた。
彼女はフレイヤの顔を確認すると同時に、小さな声で呟いた。
『フレイヤさん。悪い知らせだ』
「何かしら?」
『こっちの目、鼻、口、全員が敗走してきた』
「え?」
『事態を軽く見過ぎていた。どうやら、あの絶望少女は、マジでやばいみたいだな』
「…………そうなの?
『朱鷺、薔薇、彼岸、全員が手も足も出ないなんても持ってもいなかったよ』
「…………」
こんな落ち込んでいる由良は初めて見る。
どうやらそれだけ問題の重要性に気が付いたらしい。
しばらくの間、まるで葬式のような空気が周囲を支配する。咲夜に至っては目元に涙をためて、今にも号泣しそうだった。いつもなら茶化す彩芽と詩音も何も言わない。フレイヤも眉をひそめている。
由良はゆっくりと口を開くとこういった。
『と、いう訳で魔法少女に連ら気をつけておいた』
「あら、仕事が早いわね」
『こちらの朱鷺達三人と、フレイヤ達五人、それに魔法少女十人、全員協力してくれるそうよ』
「……意外ね、そんなに集まるなんて」
『フレイヤさんがそれだけ有名ってことの証明だよ』
「嬉しいわね」
『ボクはそっちに行けないけど、全員柳葉町に集合できるよう伝達しておいた。早い奴はもうすぐそっちに集まるんじゃないか?』
「フフフ、楽しみね」
『じゃ、こっちはこっちで準備があるから今日はここで』
「そうね、さようなら」
『さよなら』
ここで通信が途絶える。
フレイヤは暗い画面を見ながらニッと笑うと小さく呟いた。
「魔法少女連合、結成ね」