「よっす、久美さん」
「あら詩音、朝早いのね」
「そうでもないっすよ。普通です、普通」
久美は朝食を食べた後、フレイヤ達のところに行こうと思い、外に出たのだ。するとそこに詩音が待ち構えていたのだ。本当は家を出てすぐに電話をして、現地集合しようと思っていたのだが、その手間が省けた。
だが、それと同時にある疑問もわいてくる。
詩音の家はここからそこそこ離れている。具体的に言うと、電車で十分ほどかかる。歩けば三十分はくだらない。
ラフな格好をしている詩音はどう見ても何十分もかけてここまで来たとは思えなかった。
しかも、結構朝が早い。
「あなた、まさかここまで飛んできたの?」
「あ、ばれました?」
「バレバレ」
「すいませんねー、電車代なかったもので」
「もー、しょうがないわね」
「ハハハ」
笑ってごまかす。
詩音と出会ったのはほんの一か月前だった。
街中で誰の迷惑も考えず暴れまわっていた詩音を、久美が仲間に勧誘したのだ。始めこそ渋っており、なかなか首を縦に振らなかったが、ある絶望少女との闘いで自分達の戦いぶりを見てから考えが変わった。
今ではすっかり仲良くなり、フレイヤ、彩芽を含めた四人で絶望少女狩りを行っている。
ちなみに彼女は久美の弟子であってフレイヤの弟子ではない。
免許皆伝するには詩音を一人前にしなればならないのだ。
そんな理由もあって、最近は二人で行動することも多々あった。
二人は取り留めもない話をしながら、道を行く。
「そういえばさー、久美さん」
「何?」
「あの二人ってさ、結構いい暮らしをしてるよな」
「そうね」
「いくら人がいないって言ってもさ、電気代とかは大丈夫なのか?」
「あぁ、そこら辺は大丈夫よ」
「それまた何でですかい?」
「フレイヤさんの知り合いにね、ハッキング専門の魔法少女がいてね、彼女がごまかしているらしいわ」
「ハハハハハ、面白い」
「その代わり、定期的に絶望少女のコアを送っているらしいわ」
「へー、面白いシステムっすね」
「ま、世の中にはいろいろな魔法少女がいるのよ」