Neetel Inside ニートノベル
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 そう言ってフレイヤは部屋の隅にあったパソコンを引っ張り出してくると、机の上に置いた。そして慣れた手つきで電源を入れ、グーグルを開くと何か文字を入力し始めた。咲夜以外の人たちは興味津々といった様子でそれを覗き込む。
 すると「hello Daedalus welcome to magic world」と書かれているのが見えた。
 詩音は知らなかったが、久美と彩芽には見覚えがあった。
 エンターキーを強打して検索を始めるフレイヤ
 すると、画面におかしなノイズが入るのが分かった。
 ザザッというおかしな音が鳴り、赤や緑、様々な色が入り混じる。中には人の顔のようなものが映りこむ瞬間もあった。まるでホラー映画のようなそれに嫌悪感を抱く詩音だがすぐにそれは終わる。
 ブツッという音を最後に画面が真っ暗になる。
 そしてその次の瞬間
 画面の向こうから声が聞こえてきた。


 『あれー? 誰かと思えばフレイヤさんじゃないか、いったいボクに何のようだい?』


 そんな陽気な声と共に、一人の少女の姿が現れる。
 赤に近い色をした髪を短く切りそろえており、陽気な子供のような目をしていた。画面からうかがえるのは顔だけだが、どう見ても中学生にしか見えなかった。だが、魔法少女は歳をとらない。
 見かけの年齢は当てにならないことをみんなはよく知っていた。
 咲夜も気をひかれたのか、何とか起き上がると後ろに回ってパソコンの画面を見る。
 五人の魔法少女の顔を見て、画面の向こうの少女は驚いた顔をして呟く。


 『あれ? 電力会社へのハックの話じゃないのかな? 彼女たちは誰?』
 「由良、そのことじゃないの」
 『ちがーう!! 私のことはダイダロスって呼んでよー』
 「そうだったわね、由良」
 『……まぁいいや』


 気を取り直し、話を始める由良
 彼女はフレイヤと旧知の仲の魔法少女だった。電子系の能力を持っており、ネット世界に自分の意識を侵入させている。一部の魔法少女だけが知っているパスワードを入力すると彼女を呼び出すことができるのだ。
 傭兵魔法少女の派遣業も担っており、フレイヤの次に世界中で有名な魔法少女だった。
 フレイヤは一旦間を空けると本題に入った。


 「お願いがあるの」
 『何? 何でも聞くよー、新しい住処? 誰かを派遣してほしい? 活きの良い子が揃ってるよ』
 「風俗店じゃないんだから」
 『冗談だよん。で、何よ』
 「三人ほど魔法少女を派遣してほしいの」
 『オッケー、柳葉町だよね。二日もあればそこにつくと思うけど』
 「いいえ、長野県の山中よ」
 『……それまたどうして?』



       

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