「よし、魔力の充填が終わったぞ」
 「ありがとウ、達也」
 「気にするな。そうじゃなきゃお前は戦えないからな」
 「そういう問題じゃなイ」
 「じゃあこれからちょっと手伝ってくれるか?」
 「いいヨ」


 そう言ってデルタは達也にピッタリとくっつく。
 すると冷たい鉄の感覚が白衣越しに伝わってくる、デルタは脳とコアを除いた全ての部分が機械でできているサイボーグだ。しかも、その脳も優希の物をベースに培養されたものである。
 心があり、自我があるがどうしてもロボットという印象が抜けない。
 しかし当の彼女は達也になついている。
 何となく複雑な気分になる。
 だが、とりあえずは忘れることにする。達也は真っ直ぐ充填室からエレベーターに向かって行く。所長室に戻り、戦況の確認や世界中の魔法少女に命令を下さなければいけない。戦況は芳しくないのだ。
 いろいろとやらなければならないことはあるのだが、達也の思考はあることでいっぱいだった。


 昨日解読したA文書と∀文書
 それに違和感を覚えたのだ。あるページに差し掛かったところで、達也は詰まってしまった。解読できる限界を迎え、中途半端にしか読みとれなかったのだ。そのため自分なりの解釈を加えてみたのだがどうにも納得がいかない。
 一晩たった今でも、そのことについて悶々と考え込んでいるのだ。


 誰かに相談したいが、そういう訳にはいかない。
 マリアやユウキは論外だし、唯一できたと言えばフレイヤだが彼女は死んだ。
 達也は珍しく、誰でもいいから話をしたい気分だった。
 半分やけくそのまま、デルタに話しかける達也


 「デルタ、聞き流してくれ」
 「何? 達也」
 「仮に人類が人類じゃないとしたらどう思う?」
 「エ?」
 「俺たちが人類ではなく、もっと別の生命体だとしたら、どう思う?」
 「どういう意味かしラ」
 「いやなんでもない……何でもないんだ」


 クライシス

 スパラグモス

 そして


 オモパギア



 達也はふと思った。
 小岩井所長が発狂したのは、この事実を知ったからではないか
 あくまで仮定だが、あり得ない話ではないように思えた。