二人は所長室で考え込んでいた。
 アメリカの情勢が思わしくない。主要な軍事基地周辺を除き、ほとんどの地域が魔法少女により侵略されてしまっている。もうそろそろ放棄するしかないようだった。幸いなことに核兵器はまだ奪われていない、原子力発電所は占拠される前に核物質を急遽廃棄したので問題はない。
 だが核ミサイルとなるとそうはいかない。
 アメリカの軍部はいまだに渋っている。
 このままでは間に合わない。
 この一か月が肝である。


 「早めにアリスかアリヤを殺さないとな」
 「そうネ。でも、アリスが近くで発見されたじゃなイ。これは幸運じゃなくテ?」
 「そうだな、しばらく彼女は国内にいるだろうな」
 「今がチャンス?」
 「そうだ」


 この後、当面の方針などを決めた後で書類の整理などをして時間は過ぎていった。
 そんな中、一時間程立ったところで、デルタはあることを思い出した。


 「ア」
 「なんだ?」
 「この間の戦闘の時、おかしな魔法少女を発見したノ」
 「何?」
 「戦闘に加わらズ、いつの間にか消えていたノ」
 「それは不思議だな」
 「デ、私もそいつを見たかラ」
 「よし分かった、確認してみよう」


 そう言って達也は机から黒いコードを一本持ってくると、次にデルタの顔の側面に手を伸ばす。そして立体映像の裏に隠されている鉄の装甲の手に触れる。すると、人間でいうところの耳の上あたりがパカッと開く。
 そこにコードを差し込む。
 すると、デルタの記憶領域から録画したその日の映像がパソコンに送り込まれる。
 達也はすぐに椅子に座ると、即座に解析を始める。デルタはデルタで自分でデータを整理すると達也が見やすいようにする。彼女が言っていた時間帯、魔法少女と思し着姿を発見する。
 結局、終わるまで五分もかからなかった。
 達也は出てきた画像を見て、嫌な笑みを浮かべると、言った。


 「さすがはフレイヤだ。最高の遺産じゃないか」
 「エ?」
 「見ろ、これだ」


 そこには
 この情勢を一変できるかもしれない物が映っていた。