偶然 その①



 「さて、今日集ってもらったのは他でもない、仕事だ」
 「はいはい」
 「ちょっと!! 私は準備があるんだけど」
 「私はいつでもいいヨ」
 「…………はぁ……」


 一人一人反応が違う。
 やる気のあるのは精々デルタぐらい。
 比較的戦うことが好きな詩音でさえ、今日は顔をしかめて嫌そうな顔をしている。なぜなのか少し疑問に思うが、それよりも気になることがある。目の前にいるマッドサイエンティストがやけに上機嫌なのだ。
 机の上には琥珀色の液体が入ったコップが一つ置いてある。
 達也が酒を飲んでいたのだろう。
 そんな姿は初めて見る。
 いつもより楽し気な笑みを浮かべたまま、達也は言葉を続けた。


 「と言っても、大したことじゃない。今日の仕事は残党狩りだ」
 「あぁ? だったら別にやらなくていいだろ」
 「ちなみに数は三〇〇前後」
 「多いじゃねぇかよ」
 「この間のアリーナの戦闘時、こっちの動きがばれて敵の半数が逃げただろ?」
 「知らない」
 「そいつらだよ。今日の敵は」
 「かー!! 面倒だな」


 詩音はいつもより強い口調で口数と動きが多い。どうやらさっさと終わらせたいらしかった。
 今日はフレイヤがいなくなって初めての出撃だ。
 全員、何となく緊張していた。