偶然 その③


 マリアは剣を振り下ろすと、敵の魔法少女を切り裂こうとする。
 それを見た彼女は右腕に持っていた刀でそれを防ぐと、左腕の得物でマリアの脇腹を貫こうとする。マリアはそれを察して空いていた左手から魔力の腕を伸ばすとそれで目の前ん少女の魔力を吸収しようとする。
 しかし、それは気づかれていたらしい。
 敵の少女は自身の能力を発動する。
 ドンッという軽い音がして、強力な衝撃波が発生する。


 「な――ッ!!」 


 マリアはなすすべなく吹き飛ばされ、数十m後ろに倒れ込む。
 何が起きたのか分からずに困惑する。敵の少女はその隙をついて飛び出すと、マリアにとどめを刺そうとする。
 その時
 
 「アリヤァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 「え?」
 「……――ッ!!」


 詩音の叫び声が聞こえてくる。
 敵の少女はその声を聴くと、表情をガラリと変える。顔面蒼白。その言葉がピッタリくる無様な顔になる。
 そして刀を下げると、地面を蹴って飛び上がり、その場から離れていく。
 その直後、さっきまで少女がいた場所をハンマーの一撃が叩き込まれる。ドンッという鈍い音が響き、ハンマーの先が地面にめり込む。土の破片が飛んでマリアの顔にパシパシと当たる。
 詩音はその一撃が空振りに終わったと分かった瞬間には地面に降り立つとマリアに向かって叫んだ。


 「マリア!! さっきの奴どこ行った!?」
 「え、そ、そっちです!!」
 「逃がすかぁ!!!」


 マリアが指さす方へ飛んで行く詩音
 しかし、その先は翼の少女が壁のように待ち構えていた。どうやら追いかけさせないつもりらしい。戦うよりは逃げることを選ぶらしい。
 だが、それは予想の範囲内


 「邪魔すんなぁ!!」


 そう言って、両手をサッと振るう。
 すると両手から氷の氷柱が何本も放たれ、全て敵の首元に命中する。
 見事な腕前だったが、その程度では大した加須の敵を始末することはできない。すぐに人の壁が生まれて、その向こう側に行くことができない。それの事実が詩音の苛立ちを悪化させていく。
 一度消滅させていたハンマーを再び顕現すると、それで邪魔する少女たちを薙ぎ払う。


 「どっか行けぇ!!」



 無双する詩音
 それでも、目的を果たすことができない。
 絶叫し、次々と殺していく。全身が血で汚れどんどん凄惨な姿になっていく。普通なら、血液はすぐに蒸発し、もともとの姿に戻るはずがそれが間に合わないほど汚れていく。


 「くそくらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


 いつもの姿からは想像できない声、姿
 マリアはそれに恐怖感を覚える
 だが、目を離すことができない。ジッと戦う姿を眺めていたが、一分もしないうちにクライシスの声がして。現実に引き戻される。


 「マリア!! 敵が来てる!!」
 「嘘ッ」
 「上だ!!」
 「クッ!!」


 マリアは持っていた剣を思いっきり上にあげる。
 するとグサッという嫌な音と共に翼の少女の串刺しが完成する。その数秒後、マリアに粒子の雨が降り注ぐ。
 その中で戦闘態勢を取り直すと、もう一度時間停止能力を発動する。
 まだ戦いは続いているのだ。