一時間もしないうちにマリア達はその場を完全に制圧することに成功した。
 五人は一か所に集まって一服ついていた。マリアはジッとうつむいて、ユウキがその隣に立ってボーッと空を見ている。デルタは体の調子を確かめていて、朱鷺は魔力コアを使って回復をしていた。
 そして詩音は
 苛立ちを隠せない様子で貧乏ゆすりを繰り返している。その手にはさっきまで翼の少女を叩き殺していたハンマーが握りこまれていた。さっきまでの激昂が嘘のよう、まるで銅像のように静かな姿になっていた。
 哀愁漂う背中


 チラリとマリアは詩音の姿を見てみる。
 すると、あることに気が付いた。
 泣いている。
 とめどなく目から涙を流し、頬を濡らしている。しかし、悲しんでいるというよりは、怒っている様子だった。何となく、人を寄せ付けない雰囲気を放っていた。何となく理由を知りたい、マリアだが話しかけるのは何となく嫌だった。
 それを過敏に感じ取ったのか、朱鷺はマリアのそばに来ると、暗い声で話しかけた。


 「詩音のことが気にかかるのか?」
 「え、えぇその通りです」
 「教えてほしいか?」
 「ぜひ、お願いします」
 「詩音は好きなのさ、アリヤのことが」
 「え!?」


 いろいろな意味でマリアは驚いた。
 まず、さっきの謎の少女がアリヤだということに驚いたし、詩音が彼女のことが好きということにも驚いた。詩音がアリヤのことが好きということは、言いかたは悪いがレズということだろうか
 あまりにも意外な事実に唖然としてしまう。
 開いた口がふさがらないとはまさにこのこと


 そして、もう一度詩音の方を見る。
 するとどういう訳か、より一層惨めな姿に見えた。