二人は結局三十分ほどヘリに乗っていた。
 そして、小さな発着場に降り立ち、そこから少し離れた場所にある広場へと向かって行った。マリアは何となくだが、どこに向かっているかの検討がついた。なぜなら、それらが空からチラリと見えたからだ。
 大きな灰色の石が立ち、その周辺に小さいものがいくつも立ち並んでいる。
 簡単に言うと
 墓地だった。


 「こ、ここは墓地ですか?」
 「あぁ、その通りだ」
 「どうしてここに……」
 「ここは戦争被害者たちの慰霊碑もあるのさ」
 「え…………」
 「あれだ」


 そう言って中央にある一番大きな石を指さす。
 マリアはじっと見つめる。まるで視線で穴を開けようとするかのように
 達也は真っ直ぐ墓所へ向かって行く。しかし、どういう訳かその足はその慰霊碑ではなく、他の墓の方へと向かって行く。どうやら被害者たちの参拝に来たのではないらしい、マリアは少し急ぎ足で達也の後を追って行く。
 歩いて向かうこと五分
 マリアと達也の二人はその墓所の一番端にある、一番小さな墓石の前に立った。
 それを見つめながら、マリアは小さな声で達也に尋ねた。


 「これって……誰の墓ですか?」
 「見ての通りだ」
 「でも……そう。アリスの墓だ」


 目の前の墓石には赤城アリス、と名前が刻まれていた。
 初めて見る原初の魔法少女の本名に何となく呆気にとられる。
 達也はジッと墓石を眺めながら、いつも通り冷たい声で話しかける。


 「これはアリスの墓だが、遺骨はここにない。名前だけだ」
 「……でも、原初の魔法少女はまだ生きて……」
 「あぁ、生きている残念ながらな」
 「ならどうして……?」
 「理由を知りたいか?」
 「…………」