何となく
 知ってはいけない何かがありそうで
 少し躊躇してしまうマリア
 だが好奇心は七つの命を持つ猫をも殺す。
 マリアは小さく頷いた。それを受けて、達也は話を始める。


 「これは俺が八年前に作らせたものだ」
 「…………」
 「これは俺の決意表明兼、アリスの供養だ」
 「…………」
 「いいか、俺はアリスを救いたい」
 「え…………でも……」
 「だがな、一つだけわかっていることがある」
 「それは……?」
 「アリスを救う方法があるとしたら、それはたった一つだ」
 「……何?」
 「死だ」
 「え」


 あまりに予想外の言葉に、マリアは目が点となる。
 そんなこと気にせず、達也は言葉を続ける。


 「彼女はもう、死ぬことでしか救われないのさ」
 「…………」
 「だから、君の出番なのさ」
 「そんな……」
 「頼んだぞ」
 「ちょっ……まっ……」


 その一言を言い残して達也は発着場へとまっすぐ向かって行く。
 マリアは話が途中で終わったような何とも言えない感覚をあじわいながらも、さっきと同じようにテコテコと達也の後を追って行く。なんだかついてきたことを後悔するような後味の悪さを感じていた。
 それでも
 マリアは一つだけ、あることを知った。
 じっとアリスの墓を見る達也の目
 そこからは何とも言えない哀愁が感じられた。
 達也も、人の子なのだ。
 マリアは少しだけ達也のことを見直した。


 「君は……本当にアリスに似ている……」
 「え?」
 「だが、それ以上に………」
 「何、達也さん?」
 「いや、何でもない」
 「?」


 何か引っかかる言いかただったが、気にしないことにした。