墓標 その②



 研究所に帰って来たマリアを待っていたのは、旅支度を整えた詩音の姿だった。
 いつものボーイッシュな服装に、背中には見慣れない大きなリュックを背負っていた。しかし、遊びに行く人の顔にはこれっぽちも見えなかった。覚悟を決めた女の表情しており、何となく釣り合っていなかった。


 詩音はマリアと達也がエレベーターを降りたところで鉢合わせした。
 マリアは驚きのあまり言葉が出ず、達也と詩音は表情一つ変えず睨みあった。
 数秒間、静かな時間が流れる。
 二人はエレベーターから降りる。そしてすぐにマリアは詩音に話しかけた。


 「詩音さん!! どうしたんです!?」
 「おう!! ちょっと行ってくるわ」
 「えぇ!? どこに!?」
 「アリヤが見つかったからな。その討伐だ」
 「えぇ!?」


 より一層驚くマリア
 どうやら達也は知っていたらしく、そのままの調子で話しかける。


 「屋上から行くのか?」
 「そうだよ。なんか文句あんのか?」
 「ない」
 「じゃあいいだろ」
 「うん、行ってこい。さっさとしろ」


 冷たい言葉だった。
 詩音は少し顔をしかめた後、マリアの前に立つと肩にそっと手をかけてからこう言った。