何かおかしな言葉を聞いたような気がした。
 だがそれについて話を聞こうと思った瞬間に、ユウキは動きを見せた。能力を発動すると、力を集中させる。暖かい感覚が掌から放たれ、それが夜の星のように光を放ち始める。ユウキは翼の少女たちに狙いをつける。
 次の瞬間、一気に仕掛けた。
 「テレキネシス!!!」
 そう叫んだ瞬間
 バチャンッという音がして少女たちが吹き飛び、まるで内部で何かが爆発したかのように血液と内臓が吹き飛び周囲に撒き散る。しかも、一人だけではない。十人の敵が順々に爆発を起こして死んでいく。
 非常に悲惨な光景に少女は嫌な感じがする。
 だが、それらが地面に落ちる前に異変が起きる。
 サラサラという音がしたかと思うと、肉片や内臓がまるで砂のようになったのだ。飛び散った血液も同じようになると、風に乗って消えていく。
 おかげで殺人現場のようなことにはならなかった。
 死んだ彼女たちは自分の体が崩壊した後の粒子だけを残して消えていった。


 一分もしないうちに敵は全滅した。
 少女はそれを呆然と見つめる。
 いきなり現れたこの少年は一体何者なのだろうか
 そんな事を考えていると、ユウキがゆっくりと近づいて話しかけてきた。


 「おい、お前」
 「……え?」
 「名前、分かるか?」 
 「え、えーと…………ごめん、分からない」
 「そうか……なら教えてやるよ」
 「え?」


 そう言ってユウキはにやりと笑うと言った。


 「お前の名前は……マリアだ」
 「マリア……?」
 「そうだ。マリアだ」

 少女は自分の名前を知った。


 マリア


 小さな声で何度もそう呟く、何となくあるべきところに収まったようなしっくりと来る名前だった。まるで、自分はその名前を付けるために生み出されたかのように、少女改めマリアは顔を上げると言った。


 「ところで……あなたは?」
 「俺かー? 俺の名前はユウキ、見ての通り超能力者さ」
 「…………超能力者……?」
 「ん……すまん。詳しく説明する暇はなさそうだ」
 「え?」
 「敵が来る」
 「嘘ッ!?」


 マリアがそう呟いたのと同時に、空中から大量の影が降って来た。
 それはさっきの翼の生えた少女達に加え、全身が影でできた少女のような姿形をした怪物も現れた、絶望少女だ。彼女たちも全く同じ形状をしていた。パッと見は普通の人間のようにも見えるが、両腕がまるで剣のようになっていた。
 だが、そんな事よりも二人を驚愕させたのは敵の数だった。
 翼の少女が十~二十、絶望少女が数えきれないほど