向かって来る詩音の姿を確かめたアリヤはその場で姿勢を立て直すことを諦めた。代わりに両足から衝撃波を発生させると空中に飛び上がり、一回転。それで体勢を立て直すと詩音からの距離を取った。
 距離に余裕ができたので、刀を構えなおす余裕もできた。
 最初は畳みかける予定だった詩音は作戦を変更すると、一気に高度を下げて地面に下りた。そして今度は地に足をつけて慎重に行くことにする。
 それを見て、攻勢に出ることを決めるアリヤ。
 逆に距離を縮めると、右腕の刀を振るい、詩音の首元を狙う。
 だが、それは氷の剣に受け止められる。カキンッと軽い音がたち、そのまま二人は膠着状態に入る。


 「…………」
 「来いよ、えぇ!?」
 「…………」


 安い挑発に乗るアリヤ
 空いている左腕を振るい、その手に握られている剣を脇腹に向けて突き出す。詩音はそれに対して左腕を振るうと、その手の氷の剣で刀を弾き飛ばす。
 それを見てこの至近距離では埒が明かないと思ったアリヤは一度距離を取ろうとする。
 その時、異変に気が付いた。
 足元が、ピクリとも動かないのだ。驚いたアリヤは視線を下げると何が起きているか確かめてみる。すると、詩音の足元から地面に氷が張って、アリヤの足元を完全に凍り付かせているのが分かった。


 「……――ッ!!」
 「かかったな!!」


 詩音は足元の地面から氷柱を生やし、それでアリヤの体を貫こうとする。
 だが、その前にアリヤが動いた。
 全身から強力な衝撃波を発生させると詩音を氷ごと吹き飛ばしたのだ。バキンという儚い音と共に詩音の体が宙に舞う。
 このままでは隙だらけになってしまうので、詩音は重力干渉波を発するとそのままさかさまになりながら、後ろに飛んでいく。
 これでは追いつけないのでアリヤは追いかけるのを諦めると、代わりに光弾をいくつか生み出して、それらを一斉に詩音に向けて発射する。
 寸分の狂いもなくは放たれたそれらは命中するかと思われたが、詩音はそこまで甘くはなかった。逆さになりながらも光弾の方に体を向けると、両手をサッと振るって氷柱をいくつも投げつけた。
 それらは光弾と正面衝突し、ボンボンボンと連続して爆発が起きる。
 詩音は煙の中を落ちていき地面に降り立つ。
 一方のアリヤは爆煙の中から襲われては面倒なので、先にそれを吹き飛ばすことにする。右腕を高く上げ、刀の先を向ける。次の瞬間、強力な衝撃波が発生し、煙が一気に晴れる。
 そのおかげで詩音の姿がはっきり見えるようになった。


 「やるなぁ」
 「…………」


 お互い一歩も引かない。
 アリヤは天性の勘で、詩音は歴戦の経験から、ほとんど互角の勝負を演じていた。