詩音とアリヤ その③



 アリスはアリヤにこう言った。

 『あなたに孤独でいながら百%理解しあえる仲間をあげる』

 その言葉に嘘偽りはなかった。
 アリスは自身の能力を利用して、アリヤを何十人にも、何万人にも増やし、それらを翼の少女と名付けた。自分が何十人もいる。それは確かに自分のことを完全に理解してくれている仲間がいながらも、孤独であった。
 一人でいながら、仲間がいる。
 それは何とも言えない感情をアリヤに与えた。


 翼の少女たちは自分でありながら自分ではない個別の生き物
 彼女たちは自分のことを理解している。
 しかし
 それはどこまでも虚しかった。
 一か月もしないうちにアリヤは自分が何者なのかさっぱり分からなくなった。戦場に出ると、自分が何十人、何百人と死んでいく。それなのに自分はここにいる。雑踏の中たった一人で
 正直な話
 アリヤは半分後悔していた。
 だが、詩音の元に戻ることはできなかった。

 彼女の顔をもう一度見たら
 アリヤはもう元に戻れなくなる
 そう分かっていたからだ
 それに、今更どの面を下げて会いに行けばいいのか

 アリヤは孤独でいたかった
 それでも誰かと一緒にいたかったのだ。

 彼女は決して、孤独の魔法少女ではない
 矛盾の魔法少女だ。

 一度誰かと一緒にいる楽しさを知ってしまった。
 アリヤは孤独に戻る必要などなかったことをアリスのもとに来て初めて気が付いた。

 だが、全ては手遅れだった。
 アリヤはいつまでも一人で、一人っきりでいるしかないのだ。
 それが自分の望んだことなのだから

 結局のところ
 アリヤも詩音のことが好きだったのだ。