詩音とアリヤ その④



 アリヤは左足を踏み込んで前に進むその瞬間、足から強力な衝撃波を発生させたのだ。ドンッという音がして、地面が大きく抉れる。それと同時にアリヤは一気に加速して、一歩先に間合いに入った。
 詩音はその速さに反応しきれなかった。


 「な――ッ!!」
 「…………」


 本当は首元や心臓を突きたかったのだが、詩音の構えのせいでそれはできない。
 代わりにアリヤは姿勢を少し下げて刀を横に振るうと、詩音の腹部を横一文字に切り裂いた。グチャリと内臓が切れていく感触の次に、背骨を砕く硬い手ごたえ。思いの外あっさりと詩音の体は真っ二つになった。
 アリヤはそのまま前に進むと、刀を下ろして立ちすくんだ。
 血塗られた刀から、ゆっくりと鮮血が名が落ちていく。


 詩音の上半身は少し宙を舞い、傷跡から内臓を吹き出しながら、地面にどさりと落ちた。顔が上を向いており、薄く開けられた唇から血を流し、目の光がゆっくりと失われていく。手に生えていた氷の剣も、ドロリと溶けて地面へと消えていった。
 下半身は力なく膝を折って倒れると、そのまま血と中身を垂れ流すだけの肉塊になり果てる。
 地面に落ちていたハンマーは粒子と化して、ゆっくりと姿を消していった

 アリヤは勝った。
 でも

 何のために?

 「…………私は」

 両手に持っていた刀を取り落とすと、流れる涙をこぼさないように空を見上げる。