形勢逆転



 「やったな……」

 達也はコップを傾け、残っていた分をすべて飲み干すとそう呟いた。
 朱鷺は目を伏せており、画面の方を見ていなかった。なんだかやけ酒をしたい気分だったが、熱燗は既に無くなっていた。コップの底にはもう何も残っていない。仕方なしに、それを傾けてごまかす。
 満足そうな表情をしていた達也はサッと手を振るとさっきまで死闘が演じられていた画面を消す。
 そしてゆっくりと立ち上がると言葉を続けた。


 「これで、勝てる」
 「そうか」
 「世界中の翼の少女が死滅する。戦力は激減だ、絶望少女と魔法少女だけなら国連軍でも十分対処できる」
 「で、どうするんだ」


 余裕綽々なことを言っている割には、達也の顔は緊張している。
 うつむくと、机の上を何やらガサガサと探し始めた。
 作業をしながら適当に朱鷺の問いに答えた。


 「次にアリスが何をするかは分かっている」
 「……何?」
 「その備えだ。朱鷺、手伝ってくれ。人手が必要だ」
 「相分かった」


 何かよく分からないが手伝うことにする朱鷺、なんだかジッとしていられない気分だった。達也は目当ての鍵を見つけ、それを白衣のポケットに突っ込むと、所長室から外に出ようとする。
 その時、偶然にも出口の前に立ち尽くすデルタと目が合った。


 「あレ? 達也、どこか行くノ?」
 「まぁな、ちょうどいい、デルタ手伝ってくれ」
 「達也の頼みなら何でもするヨ」
 「ちょっと待て」
 「何?」
 「デルタは俺に何か用があったんじゃないか?」
 「んー、あるけド……後でもいいかナ」
 「よし、ならついてこい」


 三人は並んで、地下に向かって行った。