翼の少女が消滅し、丸二日が経った。
 ユウキとマリアの二人は部屋でジッと本を読んでいた。
 二人は達也に教えてもらい、アリヤと詩音が相打ちになったことは聞いた。そして、世界中の翼の少女が全滅したことも教えられた。それからどういう訳か命令が下るまでの間、研究所内で待機されるように言われた。
 そのため、ずっと部屋に引きこもっているのだ。
 幸いなことにマリアは読む速度が遅いため、この間の買い物のときに買ってきた本がまだかなり残っていた。ユウキはユウキでだいぶ前に買ってきた携帯ゲーム機でひたすら遊んでいた。
 パラパラとページをめくる音と、カチャカチャというスイッチを押す音がひたすら響く。
 そして、たまに話し声


 「ねぇ、ユウキ」
 「んだよマリア」
 「何やってるの?」
 「麻雀」
 「何それ?」
 「説明めんどくさい」
 「酷い」
 「うるさい」


 いつ間にかどちらも喧嘩腰になっている。
 正直に言おう、二人ともとてつもなく暇なのだ。
 詩音が死んだことは悲しいが、その死体を見たわけでもないし、どうやって死んだかもわからない。マリアからするとただ単にいなくなっただけなので何とも言えない、非常に複雑な心境だった。
 いつもなら息つく暇もなく戦うせいであまりそう言ったことを考えないのだが、それがないので嫌なことばかりを考え続けてしまう。

 少しでも気を紛らわせるため、活字で頭を一杯にしているのだが、あまり効果的ではなかった。逆に内容が頭に入ってこない。

 もしかすると

 思っていたよりも自分は戦うのが好きなのだろうか

 そんな馬鹿みたいな考えが思い浮かんでは消えていく。
 普段と別の意味で気が滅入っているマリアだった。


 その時

 突然研究所全体に放送がかかった。


 『全員集合だ』


 達也の声だ。
 マリアとユウキはジッと顔を見合わせ、不思議そうな表情を浮かべた。だが、そうしていても解決にならないことは目に見えている。二人はコクンと頷くと、立ち上がり、所長室に向かって行った。