しかし、そんな彼女の目に、あるものが飛び込んできた。
 地面がせりあがり、機械の筒のようなものがヒョイと頭をのぞかせる。それは中心部にある黒い銃口をいくつもアリスの方に向ける。また、筒は一つではない。周囲に何十個もたけのこのように生えている。
 どうやらこれが迎撃システムらしい。

 だが、アリスは高をくくっていた。ただの兵器ではアリスを傷つけることは叶わない。
 しかし、その考えは即座に改めることとなった。アリスはすぐにあることに気が付いた。普通の物体を見ることが叶わない自分の目にその筒が映る。つまりそれは魔力を内包しているということである。
 魔力を利用した兵器ならば、アリスを傷つけることも可能である。
 死にはしないが、面倒であることに変わりはない。それでも、わざわざ攻撃を仕掛けるほどの価値があるようには思えなかった。
 攻撃か
 回避か

 一瞬
 ほんの一瞬の逡巡が決定的な隙となった。
 銃口からカッと眩い光が放たれる。それと同時に、強力なレーザーが一斉にアリスに向けて発射される。反射的に回避行動をとろうとした。したのだが、できなかった。その理由は単純、躱せるだけの余裕が無かったからだ。
 レーザーの密度は中々のもので、そう簡単には回避できなかったのだ。


 『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!』


 それでも笑いを禁じ得ないアリス
 為すすべなく全身にレーザーが命中し、貫かれていく。無数の穴が全身に開き、そこから粒子と魔力が吐き出されていく。常人、もしくは普通の魔法少女ならそれだけであっさりと死んでしまう。
 だが、やはりアリスは別格だった。
 すでに肉体のない彼女はダメージなど一切気にせず突っ込んでいく。
 アリスを貫通したレーザーたちは全て後ろにある木や地面に命中し、小さな爆発をいくつも起こし、火を放つ。それはゆっくりと燃え広がり、大火災へと繋がる。だがそれまでにはまだ時間があった。
 ズタズタになりながらも、アリスは自身にレーザーを放つポットの目の前にまでくると、手にしていた剣を掲げ、振り下ろす。剣先がガッという嫌な音共に突き刺さり、ポットが黄色い閃光をまき散らす。
 次の瞬間
 ボンッという軽い音がし、爆発を起こす。
 アリスはその爆風と黒煙に巻き込まれる前にサッと移動すると、別のポットの方へと向かって行く。
 しかし、数は多い
 早々にその全てを排除できるわけがない。
 そう考えると面倒になったアリスはサッと手を上げるといくつものナイフを顕現し、それらを一斉にポットの方へと飛ばす。高速で飛ぶそれらは見事命中すると、ボンッという軽い音をたてて爆破していく。
 思いの外あっさりと壊れていくポットを見て、ちょっとした満足感を覚えた。