母親が達也の異変に気が付くまでそう大した時間はかからなかった。
 達也は一週間のうちに埃を被っていたパソコンを完全に使いこなせるようになり、やけに大人びた雰囲気を纏うようになった。あまり話さなくなり、たまに話すときもやけに難しいことばかりを呟くようになった。
 単純な知識量ではあっという間に母親を超えた。
 はっきり言うと
 異様だった。


 母親はそんな達也にどうやって接すればいいか分からず、困惑していた。やがて小学校に通う年齢になっても、達也は行こうとしなかった。そんなことしなくても既にその程度の知識は持ち合わせていた
 どうすればいいのか
 彼のことを完全に持て余した母親は、どうすればいいのか真剣に悩んでいた。
 そんな時
 偶然にも小岩井所長に出会った
 実は彼女と母親は父親のつながりで面識があったの。久しぶりの再会に、手と手を取り合って喜ぶ二人。久しぶりに夕食でも共にしようということになり、母親は自分の家に小岩井所長を招待したのだ。
 所長も喜んでその誘いに乗った。
 そして。そこで二人は初めて顔を合わせた。


 家にやって来た所長は達也の天才っぷりを目にして、驚いた。
 母親は物はついでとばかりに小岩井所長に達也のことを相談した。その頃にはもう、小岩井所長は達也の才能に心底惚れていた。所長は達也に最高の教育を与える代わりに、自分の研究の助手をしてもらいたいと申し出た。
 母親は悩んだ。
 彼を手放していいのか、この決断は自分の子供を売るようなものではないか
 そう思ったが
 彼女は達也の才能を活かせる道を選ぶことにした。


 次の日
 達也は黒服の男たちに連れられて小岩井研究所の門を叩いた。
 こうして小岩井研究所に来た達也はあっという間に大人顔負けの天才へと育った。


 そして
 十五歳のあの日


 アリスと出会ったのだ。