刹那
 研究所は周辺の土地を巻き込み、自爆した。
 達也はその全身があっという間に焼かれ、意識がゆっくりと遠のいていく。彼が最後に目にしたのは見慣れた研究所の一室と、ポカンとした顔をする原初の魔法少女の姿だった。もう、なんだか、それだけで十分だった。
 最後にアリスの姿を見ることができて幸いだった。
 目をしっかりと閉じた時

 アリスが何か言うのが聞こえてきた。


 『       』


 その言葉を聞いて
 達也はもう満足だった。



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 ドンッという重い音と、鈍い振動が響いてくる。腹の底が揺さぶられるようなそれに、マリアは心底気分が悪くなる。事情を何一つとして知らない彼女は何が起きたのか分からず少し曇った顔をする。
 ただ、研究所の方で何が起きたことは分かった。
 音と振動はそちらから襲ってきていたからだ。

 不思議に思った彼女はチラリとデルタの方を見てみる。
 すると、彼女は暗い何かを背負ったまま、小さな声でこう答えた。


 「自爆」
 「え?」
 「自爆装置が起動したんダ」
 「達也はこの時に備えて、前々から準備を進めていたノ」
 「…………」


 何とも言えない気持ちになるマリア
 あいつは嫌な奴だった。
 嫌な奴だったが


 「無責任なッ……!!」


 マリアは歯を食いしばって
 小さな声でそう呟いた。