そういえば、と思い出す。
 フレイヤと戦った時、お仲間が数人いた。無機質な魔力を扱う女と不思議な力を使う少年、紙を操る魔法少女に氷を放つ魔法少女。そして、謎の少女。魔力の形状以外に感知できていないが、それでも性別と能力ぐらいは分かる。
 分かっていないのはあの謎の少女ぐらいのものだ。

 だがそんな事よりも気になることがあった。
 彼女たちはどこに向かっているのだろうか?
 原初の魔法少女は、魔力の塊が向かっているであろう方向に目を向ける。するとその奥に歪んだ魔力が集中している場所があった。そこは、戦争開始時から調査したかった場所なのだが、研究所同様にバリアーが張ってあることから放置していた。
 それに優先度は研究所の方が高かったからだ。
 そこには何があるのだろうか

 原初の魔法少女は少し考える。
 答えはすぐに出た。


 原初の魔法少女は無造作に腕を伸ばし、指を地面に向けるとバチンッと指を鳴らす。
 その直後、ガオンッという音が鳴り、空間が削除される。すると地面に全てを飲み込まんとする巨大な落とし穴が生まれた。
 御雷は何となくその縁までくると、ふと目を伏せて奥の方を見てみる。
 すると、不自然な点が一つ見つかった。
 竪穴の奥の方に、横穴の入り口が見えたのだ。


 「……トンネル?」
 『行け』


 いつ間にか顕現した剣を振りかざし、命じる。
 御雷はハァとため息を吐き、頭をボリボリと掻きながら呆れた声で言った。


 「わーったよ。この先に何かあるんだな」
 『レールに沿って左へ行け、足止めしろ』
 「なんかあるんだな、了解!!!」


 元気な声でそう答えて穴の中へと飛び込んでいく御雷
 原初の魔法少女はそれを見届けた後も、ジッとその場で立ち尽くしていた。

 どうやら

 自分には何もないと思っていたが

 待っていてくれる人はいたらしい。


 死んでしまったが


 これで本当に何も無くなった。



 『…………』


 世界を滅ぼすしかない。


 『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!』


 笑う

 笑う

 さっきまで流していた涙を全て振り払うかのように
 原初の魔法少女は狂い踊りながらひたすら笑っていた。



 達也



 アリスが最後にそう呟いたことを
 もう誰も覚えていない。