『いいか、そこの機器を使えばアリスの現在位置が把握できる。お前たちがやることはもう分っているな? そうだ、時が来た。アリスを殺せ』
 「「「「…………」」」」

 その場にいた全員が息をのんだ。
 特に、マリアは額から嫌な汗を流し、一番緊張していた。とうとう来た。自分の力を最大限に発揮して、世界を救う時が。生まれてきた意味が、今までの戦い、犠牲その全てが報われる瞬間が
 無意識のうちに拳を強く握りこむ。
 そんな彼女に、達也の冷たい声が浴びせかけられる。


 『いいか、お前たちに「敗北」の二文字はない。あるのはたった一つの選択肢だけだ。「勝つ」か「死ぬ」かどちらかだけだ。いいな、分かったな』


 プツッという、テープが切れる特有の音がする。
 それで達也の言葉は終わりらしい。デルタは当てていた手を下げると、力尽きたように席につく。どうやらこの四人の中で達也が死んで一番ショックを受けているのは彼女のようだった。真っ白に燃え尽きていた。
 一方のマリアは怒っていた。
 さっきも言ったが、本当に無責任だと思う。
 文句の一つでも言ってやりたい気分だが、もうすでに言うべき相手はこの世にいない。行き場のない怒りが胸中で渦巻き、強くなっていき、ドンドン燃え上がっていく。この激昂をどうすればいいのだろうか
 マリアは半分やけくそになっていた。
 ユウキは額に青筋を立てていたが、何も言わず近くのドアを蹴り飛ばすだけだった。

 このまま、気まずい時間が流れる。
 それが十分も経った頃
 異変が起きた。

 突然、電車が不審な動きを見せるとガクンッと嫌な感じの衝撃が襲って来る。朱鷺とユウキはそれに驚き立ち上がる。一方でボーッとしていたデルタは反応が遅れて顔から床に倒れ込み、ガンッという鈍い音を響かせた。
 マリアは椅子からずり落ちてるも、すぐに立ち上がる。
 そして、ユウキの方を向くと叫んだ。


 「何が起きたの!?」
 「知るか!? なんで俺に聞く!?」
 「それはそうだね!!」
 「お前馬鹿だろ!!」
 「うるさい!!」
 「二人とモ、静かニ!!」


 デルタの厳しい声がする。
 二人はそれで我に返ると一斉に彼女の方を振り向く。
 冷静になると同時に、他の異変にも気づき始めた。
 電車の動きがドンドン遅くなっていき、自分たちを照らしていた電灯がピカピカと瞬き始める。デルタは急いで運転席に向かうと、そこにある機器を確認しようとする。一方で朱鷺は一番後ろの席に向かうと、窓から研究所の方を確認する。
 何もできないマリアとユウキは何かあった時のように、量産型コアの詰まったバックを手にしておく。