そこまでして、マリアはまたおかしなところに気が付いた。
 「ねぇ、ユウキ」
 「んだよ」
 「なんか変な音が聞こえない?
 「お……そういえば……」
 まるで金属と金属をこすり合わせているような気分の悪い音
 それは電車内にいる全員の耳に響いていた。
 だが、原因が分からない以上、眉をひそめて無視するほかない。


 そんな中、デルタはある計器を見て気が付いた
 電力供給が滞っている。
 なぜ? どうして?
 そんな言葉が浮かんでは消えていく。
 達也が作ったシステムに不備などあるはずがない。研究所が爆発した影響か、と一瞬思うもすぐに否定される。なぜなら、この緊急脱出用地下鉄道は自爆した後で使われることを前提としているからだ。
 そのため、爆破後で動かなくなるはずがない。
 つまり
 何者かがこちらの脱出を阻害していることとなる。
 結論は意外と早く出た。
 デルタは即座に動くと、後の席にいる朱鷺の隣に立ち、話しかける。


 「見えますカ?」
 「いや、さっきまでトンネルを照らしていた電気まで死んでいる。デルタ、すまないが」
 「大丈夫でス。暗視モードに切り替えまス」


 デルタはそう言って、切り変えてトンネル内を凝視する。すると、真っ暗で何も見えなかった横穴がまるで昼間のようによく見えるようになる。だが、パッと見では特におかしな物は何も見えない。
 それでも何かあるはずなのだ。
 確信を抱く彼女は、ズームさせて、より奥を見る。

 すると、見つけた。
 黒い槍を手にし、無駄に派手な麗装を身にまとう一人の魔法少女を。彼女は最高速度で宙を切りつつ、真っ直ぐこちらに向かって来ていた。また、彼女はどういう訳か槍の先を電車のレールに当てていた。
 どうやらそのせいでこの不協和音は鳴り響いているらしい。
 原初の魔法少女の手下だろう。