逃走 その②


 二人は顔を見合わせると小さな声で話し合う。


 「どうする?」
 「……彼女が邪魔ヲ?」
 「その可能性は高いな……どうする?」


 朱鷺がそう尋ねると、デルタは黙り込む。
 そして、一言。


 「私が行きまス」
 「……いいのか? 私が行ってもいいのだが……」
 「いエ、朱鷺さんはリーダーですシ、それニ……」


 そう言ってデルタは指を指の付け根辺りを展開すると、そこから空中に映像を投影する。
 そこにはあるグラフが一つあった。
 朱鷺はそれを見て目を伏せると小さく言った。


 「……そうか、すまないな」
 「気にしないでくださイ。忙しかったんですかラ」
 「…………」
 「じャ、行ってきまス」


 デルタはそう言って、電車のドアの前まで歩を進める。
 マリアはなんて声をかけたらいいかわからず、困った顔で彼女を見つめる。その視線に気が付いたのか、デルタは無表情のままマリアの前に立つと、いつもとまったく同じ口調で話しかける。


 「マリア、ちょっと行ってくル」
 「……行ってらっしゃい…………」


 次にユウキの方に顔を向けると言った。


 「ユウキ」
 「なんだよ?」
 「頑張りなさいヨ」
 「何をだよ?」
 「分かっているくせニ」
 「……フンっ」