それを最後に
 デルタは既に止まった電車のドアを無理矢理こじ開けた。
 すると、真っ暗な世界への扉が開かれ、デルタは永遠に続きそうな虚無の前に立たされる。その先に何があるのか、さっぱり見当がつかないが、そんな事ほとんど関係ない。彼女は何の躊躇もなくそこに降り立った。
 すると
 ストンッという軽い音と共に足に地が付く感触が伝わってくる。
 そして、先ほど敵がいた場所に顔を向ける。
 次の瞬間、デルタは全速力でそちらに向かって突っ込んでいった。

 朱鷺はその背中を見送ってから、席を立つとマリア達の方を向いて話しかけた。


 「よし、行くぞ」
 「え?」
 「え、とは何だ。ここから真っ直ぐ第二研究所へ向かうと言ってるんだ」
 「でもデルタが」
 「おいていく。行くぞ」
 「ちょっと!! 待ってください!!」


 マリアは声を上げると朱鷺のことを呼び止める。
 すると彼女はさも迷惑そうな顔をして、こう尋ねた。


 「なんだ、お前も置いて行かれたいか?」
 「違います!! どうしてデルタを置いていくんですか!?」


 感情的になって怒鳴るマリアと対照的に、朱鷺は冷めた目でマリアの顔をジッと見る。どうやらユウキは既に理由が分かっているらしい。既に諦めたように何も言うことなく開きっぱなしになったドアの前に立ち、出立の準備を整えていた。
 朱鷺はゆっくりと非情な言葉を吐く。


 「いいか、もうここまで敵が来たということは、他にも原初の魔法少女の手先が来るかもしれない。もし、この狭いトンネルで質と量で押されると面倒なことになると、そう簡単には勝つことができない」
 「………それは……」
 「いいか、ここは彼女に任せて逃げるのが得策だ」
 「で、でも!!」
 「それに」


 話が遮られる。
 マリアはそれに臆してしまい、口を開けたまま固まってしまう。