だが、とりあえずこのことは忘れることにすると、朱鷺は別の質問をユウキに飛ばす。


 「一ついいか?」
 「何すか」
 「この周辺の映像も出せるか?」
 「え、できますけど」
 「頼む」
 「分かりまして、ちょっとこっちのモニターを起動するからちょっと待って」


 その場から移動するのが面倒だった彼は、サイコキネシスで手早く仕事を済ませる。
 すると、映像がパッと切り替わる。
 だが、特に何か異変はない。


 「…………これは今現在の物か?」
 「いいえ、データベースにあるものっす」
 「……今のは?」
 「ないです」
 「ならいい」


 そう言って顔を背ける朱鷺
 どうやら興味を失ったらしい。
 ユウキはそんな彼女に向かって口を開くと、こう話しかけた。


 「どうしますか? 朱鷺さん」
 「何が?」
 「いつ、攻撃を仕掛けますか?」
 「……私も知りたいです」


 二人の言葉を受けて、朱鷺は考え込む。
 今は彼女がリーダーだ。達也がいない今、朱鷺が指揮を下さなくては動くことができない。ほんの少しだけ悩むが、答えはすぐに出た。パッと顔を上げると朱鷺は二人に向かって力強く宣言する。


 「今すぐだ」
 「「え」」


 いきなりすぎる。
 二人は空いた口が閉まらなかった。
 訳が分からないでいる二人に朱鷺は補足説明を入れる。


 「いいか、幸いにも敵はこちらによく知る場所にいる。下手に遠くに逃げられる前に、さっさと仕留めるべきだ」


 理屈は通っていた。
 朱鷺は部屋の隅にある物置を開くと、その中にあった保存食を取り出す。と言ってもコンビニで普通に売っているような安物である。包装をはがし、せっせと口に運ぶ。一つ食べた後、彼女は新しいのを一つ手にすると、ユウキとマリアに向かって放る。


 「食っておけ」
 「え、でも腹は空いていませんよ」
 「気つけみたいなものだ、水もある」
 「……分かりました」


 二人は受け取ったのをモソモソと食べる。
 数分後
 準備を終えた三人はさっきはいた緊急時の出入り口ではなく、ちゃんとした正面出入り口へと向かう。少し広めの通路を通り、徒歩五分、すると立派なエレベーターのドアが目の前に現れる。
 ドアは自動で開くと三人を最後の戦場へと迎え入れた。