「だから行け」
 「え?」
 「朱鷺さん……」
 「ここは私が引き受けよう」


 一瞬の沈黙
 もう、マリアは何も言う気になれなかった。
 ユウキは少し目を伏せた後、小さな声で言った。


 「分かりました。任せます」
 「おう」
 「…………行くぞ、マリア」
 「分かった」


 そう言ってあっさりとマリアはユウキの方へ歩いていく。彼女のことはあまり好きではない、それだからか別れがあまり悲しくない。その代わりと言っては何だが、そんなことを思ってしまう自分が非常に悲しかった。
 マリアと朱鷺
 二人の間の距離がどんどん離れていく。
 それを知ってか

 朱鷺は低い声で語り掛けた。


 「マリア」
 「……何すか」
 「私はお前が嫌いだ」
 「――ッ!!」


 こんな時まで
 文句の一つでも言ってやろうかと思った瞬間
 それにかぶせるように朱鷺の言葉が続いた。


 「だがな、お前が世界を救うことができると信じている」
 「え?」
 「頼むぞ」


 その言葉が最後だった。
 マリアが振り返った時
 既に朱鷺は敵に向かって飛び出して行っていた。