「行くぞ!!」


 一気に懐に潜り込むと横に一閃、紙人形を真っ二つに叩き切ろうとする。
 しかし、その一撃もやはり虚しいものだった。
 式神が周囲を舞い、シノブの視界を遮る。チラリと見た限り、人形の原型は残っておりダメージがなかったことを示している。もう一度、今度は頭の辺りを狙って攻撃を仕掛けようと思った瞬間
 トッ、という軽い音と共に、激痛が走る。


 「え?」


 首を曲げて胸の辺りを見てみる。
 すると、紙人形の持っていた七節棍の先が伸びて、シノブの右胸にめり込んでいた。ジワリと赤い液体が流れ出ると、麗装の上を伝い落ちていく。どうやら、当たりが浅かったためか、少し肉を削っただけらしい。
 だが、シノブのペースはこれで完全に失われた。
 紙人形は自身の体を再生しながら、くるりと体を回しながら一歩前に出ると、七節棍を首元めがけて一直線に突き出す。
 痛みのあまり、呆気に取られていたシノブは反応に遅れた。
 そのため、棍は特に障害なく命中するとベキリと嫌な音をたて、首の骨にヒビを入れる。朱鷺と同じく、一撃で敵をしとめるべく、確実に急所を狙ってきていた。だが、やはり少し浅い。

 「――――ハッ!!!」


 首の血管も潰されたのか、口から血液が吐き出される。
 紙人形は、とどめの一撃を繰り出そうと、七節棍を後ろに下げ、もう一度突きの体勢をとる。
 シノブはとっさの判断で動くと、地面を蹴って後ろへ飛ぶ。
 意識が朦朧としているせいか、着地に失敗し、ガクリと膝をついてしまう。


 「―――ッ!!! ―――ッ!!」


 声が出ない。 
 骨が再びつなぎ合わされ、傷が修復されていく。それは燃えるような痛みを伴うもので、息がとても苦しくなる。何とか、何とか傷が癒えるまでの間だけでも休みたかったのだが、そういう訳には行かなかった。
 紙人形はこちらの都合など考えてはくれない。
 外れた七節棍を振るいつつ、倒れている自分に向かって来る。


 「クッ!!」


 シノブは悔しそうに顔を歪ますと、掌を地面に向ける。
 すると強力な磁力が発生し、砂鉄を集める。だが、それだけでは何の意味もない、シノブは磁力を操り、砂鉄を大量に紙人形に向かって飛ばした。鋭い一迅の風が紙人形を切り裂かんと襲い掛かる。