すると、そこにあるデスクの一人の男が座っているのが目に飛び込んできた。彼は一心不乱に備え付けのパソコンの画面をじっと眺めていたが、ユウキ達が来たことに気づいているのか低い声で話しかけてきた。


 「ユウキ、どうだった?」
 「無事保護したぜ、ほら、隣にいる」
 「ん、そうか。よくやったな」


 ここで初めて顔を上げる。
 すると、その男の顔がマリアの目に飛び込んできた。


 「あっ!!」
 「久しぶりだな」
 「――ッ!!」


 目の前にいたのはベッドの上で目覚めた時に自分に話しかけてきたあの男だった。マリアはあの時と同じ冷たい視線を受けて恐怖感を抱き、反射的にユウキの腕に縋りついてしまう。
 それを受けて嫌そうな顔をしたユウキは、面倒くさそうな声で文句を言う。


 「お前、邪魔だよ」
 「だって……この人、怖い」
 「うん? 俺が怖いか、ハハハハハハ。面白いジョークだ」
 「ジョークじゃないんだけど……」
 「いいから、離れろ」
 「う、うー」


 文句を垂れつつも離れるマリア
 そんなこんなしているうちに、デルタがやって来た。彼女は一瞬二人の方に視線を向けたものの、すぐに逸らすと脇を通り抜けて奥の方へと向かって行く。そして、椅子に座る男の隣に立つと話しかける。


 「達也」
 「なんだ。デルタ」
 「無事に終わったヨ」
 「そうか、よくやったな」
 「ほめてほめテ」
 「あとでな」
 「え……寂しイ」
 「すまんな、彼女との話が先だ」


 達也と呼ばれた男はそういうとマリアの方を向きなおした。
 ビクッと肩を震わせると、ユウキの背に隠れようとする。それを一歩右の動いてかわす。手持無沙汰になったマリアは恨めし気な目線を向けるも、ユウキはそれを見事に受け流し口笛を吹きだした。
 すごく下手だった。
 二人のやり取りを無視して達也は話を始める。


 「マリア、君は自分が誰なのか分かるか?」
 「え……えーと……」
 「分からないだろう?」
 「そ、それはそうだけど」
 「俺が教えてあげよう。君が誰なのか、何のために生み出されたのか」
 「…………あなたが?」
 「そうだ。デルタ、椅子を用意してやってくれ」
 「分かっタ」


 そう言って淡々とデルタは部屋の奥にあった椅子を引っ張ってくる。
 それをマリアの前にまで持ってくると、無言のまま座るように促す。マリアは少しだけ悩んだあとゆっくりとそこに座った、デルタとユウキはその後ろに並んで立つ。達也はその姿を見て満足そうに頷く。