「勝った!!」
 「はぁ……なにぃ!?」
 「さすがの朱鷺でも、毒には勝てないでしょ!!」
 「……毒……?」


 それで、朱鷺は気が付いた。
 サッと後ろを振り向くとそこにいる地味な魔法少女のことを睨み付ける。


 宮崎
 彼女の能力は毒煙発生
 全身から強力な毒を生み出し、周囲の空気を汚染し、大量の敵を一斉に殺すことができる。一般人なら即効性のあるものだが、魔法少女が相手では時間をかけてゆっくりとその肉体を侵食していく。
 この能力は非常に扱いにくく、下手すると仲間を巻き込む可能性もある。
 それを避けるため、彼女はキャンディーと呼ばれる解毒剤をみんなに渡したのだ。

 朱鷺は戦闘中興奮状態だったため、毒の影響に気づかずにいたが、そのツケがドッと回って来たらしい。
 集中力が保てなくなり、大量の式神が力なく落ちていく。
 そんな中、燈子の周囲に魔法少女二人が集まる。
 数がだいぶ少なくなっている。


 「シノブとレイチェルは?」
 「死にました、すいません」
 「いえ、構わないわ。全滅しなかっただけマシ」


 心の底からそう思っていた。
 朱鷺は何とか意識をしっかりと保ち、腕を上げると遠く離れている二本の七節棍を手元に引き寄せる。そしてその先を地面に突き立て、体をそれで支えながら、生まれたての小鹿のようにフルフルと震えながらも立ち上がった。
 唇の端から一滴の血を垂れ流している。
 吐血したわけではない。
 歯を食いしばり、わざと唇を切り、その痛みで少しでも頭を活性化させようとしたのだ。
 だが、その程度でうまくいくはずがない。