朱鷺 その⑥


 燈子は気がついていた。
 朱鷺はもう死ぬ気でいる。
 というか、ほとんど死んでいるようなものだ。

 最強の死人が相手では
 分が悪すぎる。


 「行くよ」
 「え?」
 「毒が完全に回るまで待ちたかったけど、見逃してくれそうにない」
 「………」
 「早く、殺さないと」


 そう呟き
 燈子は投げナイフを朱鷺に向かって投げつける。
 回避することはできる。できるが、朱鷺はしない。一歩前に踏み出すと、傷がある程度癒えた左腕を顔の間に掲げると、前腕部でそれを受ける。ザクザクッという音と鋭い痛み、炎の熱が伝わってくるが気にしない。
 残り時間は少ない。
 この程度で止まっていられるか。


 「うらぁ!!!」


 傷ついた腕を振るい、突き刺さったナイフを振り払う。
 そして大量の式神を一斉に放つと、燈子たちに向かって一気に放つ。
 それで目隠しをしつつ、燈子ともう一人の魔法少女に向かって進む。

 最後の戦いだ。
 派手にやろう

 満面の笑みを浮かべながら、朱鷺は鮮血をまき散らし、戦鬼と化した。